惑星発見ニュース TIC 237913194 b

惑星「TIC 237913194 b」は太陽に似た恒星「TIC 237913194」の周りにある太陽系外惑星です。15.17日周期で公転するこの巨大ガス惑星は、ホットジュピターと比べてやや温度が低い「ウォームジュピター」に分類されています。軌道は潰れた楕円軌道になっていますが、これは短周期の惑星としては珍しい特徴です。

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TRAPPIST-1系の惑星は地球に似ている?

TRAPPIST-1系の7つの惑星は、従来考えられていたより平均密度が高いことが分かりました。この密度は太陽系の地球型惑星と比べてやや低いものですが、太陽系と類似した惑星である可能性があります。

TRAPPIST-1は太陽系から39光年離れた位置にある小さな恒星です。2016年にこの星の周りに地球と同等のサイズを持つ7つの惑星が見つかり、ニュースとなりました。特に内側から4、5、6番目の惑星は、表面に液体の水が存在可能な「ハビタブルゾーン」に位置しているため大きな注目を集めています。これらは惑星が恒星の手前を横切る際に恒星の光を一時的に隠す現象(=トランジット)で発見されたものです。

関連記事:系外惑星の観測方法#トランジット法

TRAPPIST-1系は、内側の惑星と外側の惑星で軌道周期が整数比になる「軌道共鳴」の状態にあります。その影響は本来等間隔になるはずのトランジット発生間隔が変動する「トランジット時刻変動(TTV)」として表れています。TTVは惑星質量の手掛かりになり、質量とサイズが分かれば平均密度を計算できます。平均密度からは惑星の組成や構造を窺い知れます。これまでの研究(Grimm et al. 2018)では、TTVに基づくと7つの惑星は地球と比べ低めの密度を持ち、特に惑星b, d, f, gは、太陽系の地球型惑星と異なり、岩石の表面が水・氷・あるいは厚い大気で覆われていなければ密度を説明できないとされていました。

関連記事:系外惑星の観測方法#TTV法

TRAPPIST-1系の惑星の公転周期
bcde
1.5102.4224.0496.101
fgh
9.20812.3518.77

今回米ワシントン大学の Eric Agol 氏らの研究チームがarXivにプレプリントとして投稿した研究(arXiv:2010.01074)は、より長期の観測に基づいてTRAPPIST-1系を調べ直したものです。スピッツァー赤外線宇宙望遠鏡の新しいデータの他、ハッブル宇宙望遠鏡や地上の観測施設による既存のデータが分析に採り入れられました。

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金星のホスフィン濃度は生命の痕跡として妥当な量なのか?

先日(2020年9月14日)、金星の高度50キロメートルの雲層にホスフィン (PH3) が検知されたとする研究が公表されました。これは金星に生命(微生物)が今なお存在している痕跡かもしれない一方、未知の非生物的なプロセスが原因となっている可能性もあります。

関連記事:金星に生命が存在するかもしれない証拠が見つかった

この研究で報告されたホスフィンの濃度は20 ppb(1ppb = 10億分の1)でした。これは生物由来の濃度として妥当なものなのでしょうか?仮にこの濃度を再現するために必要な生物の量のが非現実的な物であれば、生物が関わっているという見方を否定する証拠となります。フロリダ工科大のManasvi Lingam氏とハーバード大のAbraham Loeb氏は、この疑問に答える研究を行い、9月16日にarXivにプレプリントとして投稿しました( arXiv:2009.07835)。

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金星に生命が存在するかもしれない証拠が見つかった

金星に生命が存在するかもしれない証拠が発見されたというニュースがありました(2020年9月15日)。

何が見つかったのか?

金星の画像

今回生命が存在する “かもしれない” 証拠とされているのは、金星の大気中に「ホスフィン」と呼ばれる物質が見つかったことです。「Phosphine gas in the cloud decks of Venus」と題されたこの研究は カーディフ大学のジェーン・グリーブズ教授らのグループが発表したもので学術誌『ネイチャー・アストロノミー』で公開されています。

ホスフィンとは、リン原子に3つの水素原子が結合した化合物です。化学式はPH3で表されます。地球上の常温常圧では気体として存在し、極めて高い反応性と、人体に対する強い毒性を持ちます。

なぜホスフィンなのか?

地球上のホスフィンは、人類が工業的に生産するものを除けば、ほぼ全て生物の活動に伴って生成されています。言い換えればホスフィンは生物の関与なしではほとんど作られません。ホスフィンは生成量が少ない上にあまりにも簡単に分解されるため、地球大気のホスフィン濃度は平均すると1 ppt = 1兆分の1 しかありません。

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最も若い系外惑星「おうし座V830b」は存在しなかった?

おうし座V830はおうし座にある変光星です。この星は「Tタウリ型星」に分類される若い星で、生まれてから200万年しか経っていません。2017年、この星の周りに太陽系外惑星「おうし座V830b」が報告され、既知の系外惑星のうち最も若い部類に入ることから注目を集めました(Donati et al. 2017)。この惑星は木星の6割の質量と4.93日の周期をもつホットジュピター(高温の木星型惑星)とされています。

2017年の発見は視線速度法(※惑星の公転運動に伴い恒星の奥行き方向の速度が周期的に変動するのを検出する方法)によるもので、ハワイにあるCFHT望遠鏡と観測装置ESPaDOnSなどのデータに基づいていました。おうし座V830のような若い星は、恒星本体に由来する大きな視線速度のノイズが観測されるため、そこから惑星に由来する成分を取り出すのは至難とされます。2017年の研究では巨大黒点などにようる恒星表面の不均一性をモデル化することにより惑星に由来する振幅70 m/sの変動を検出できたとされていました。

イタリア国立宇宙物理学研究所 (INAF) に所属する M. Damasso 氏らの研究グループは、この興味深い発見を追認するために、スペイン・カナリア諸島にあるイタリア国立ガリレオ望遠鏡と観測装置「HARPS-N」を用いて2017年よりおうし座V830の観測を行ってきました。これは同望遠鏡を用いた系外惑星の包括的な観測プログラムである「GAPS」の一環でもあります。その結果はプレプリントとして2020年8月21日にarXivに投稿されました。

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太陽系近傍の赤色矮星に太陽系外惑星が続々と見つかる

赤色矮星とは、スペクトル型がM型に分類される恒星のことです。太陽より質量が小さく温度が低いことが特徴で、銀河に存在する恒星の大半を占めます。赤色矮星を中心とした惑星系では主恒星に近い距離を公転する惑星でも表面に液体の水が存在しうるため、近年では太陽系外惑星探しのターゲットとして高い関心を集めています。

米カーネギー研究所に所属するFabo Feng氏らの研究グループがarXivに投稿したプレプリントは、太陽の近場にある赤色矮星の周りに複数の太陽系外惑星を発見・確認したことを伝えています。惑星の検出は視線速度法に基づき、5つの望遠鏡・観測装置のデータが使用されました。

関連記事:系外惑星の観測方法#視線速度法

今回発見・確認された惑星系は11個、惑星は16個に上ります。その内訳は (1) 新たに検出した惑星が10個 (2) 新たに検出したがまだ確定的でない惑星候補が3個 (3) 既知の惑星を再確認したものが3個 としています。主星の質量は太陽の0.15倍から0.63倍、惑星の公転周期は10日から18年、惑星質量は地球の8倍から木星の1.5倍に分布します。

特に注目される惑星系としては、太陽系からわずか15光年の距離にある2つの惑星系(おうし座TZ星系とグリーゼ687系)、ハビタブルゾーン内に惑星を持つ3つの惑星系(ロス429系・GJ 2056系・HIP 107772系)があります。

Feng氏らの研究は2020年8月18日にarXivに投稿されました。著者のコメントによると研究は『アストロフィジカルジャーナル・サプリメントシリーズ』(リンク)に受理され掲載予定とのことです。

太陽系から至近距離にある2つの惑星系

おうし座TZ星系

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超低温矮星の周りに巨大ガス惑星の候補が見つかる

電波望遠鏡で恒星の位置を調べる「電波アストロメトリ法」で、系外惑星候補「TVLM 513-46546 b」が発見されました。この方法で検出された惑星候補としては最初のもので、低質量の主星の周りを公転する木星型惑星(巨大ガス惑星)という点でも注目されます。

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2016年に発見された惑星の主星は化学特異星だった

2016年に発見された惑星KELT-17bは、スペクトル型がA型の恒星「KELT-17」を公転するホットジュピターです。太陽と比べて質量・半径が大きく温度が高いA型星では、自転速度が速いなどの理由で惑星を観測するのが難しく、A型星を公転するKELT-17bのような惑星はわずかしか見つかっていません。

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TESSが太陽系に似た惑星系を発見

NASAの系外惑星観測衛星「TESS」の成果として、太陽に似た恒星「HD 86226」の周りに新たに惑星を確認したとする研究が公表されました。この星の周囲にはTESSの打ち上げ以前に1つ惑星が見つかっていましたが、今回の研究でこの惑星系が従来考えられていたより太陽系に似ていることが明らかになりました。

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膨張した若い系外惑星が見つかる

おうし座V1298系

若い恒星「おうし座V1298」に新たに3つの惑星が見つかりました。これらは平均密度の低い膨張した巨大ガス惑星と見られます。

NASAのジェット推進研究所に所属するTrevor J. David氏らの研究グループがarXivに投稿した論文は、生まれて間もない恒星「おうし座V1298」に3つの系外惑星を発見したことを伝えています。既に知られていた惑星1つと併せて、この系に知られている惑星は4つになりました。

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ボリソフ彗星の故郷は「クリューゲル60」系か?

2019年8月30日に発見された「ボリソフ彗星」(C/2019 Q4 または 2I/Borisov)は、太陽系外から飛来した恒星間天体としてオウムアムアに続く2例目の天体です。この彗星は2019年12月に太陽に最接近した後、太陽系から飛び去ると見られています。

ポーランドのミツキェビッチ大学に所属する Piotr A. Dybczynski 氏らの研究グループがarXivに投稿した研究(arXiv:1909.10952)は、重力多体シミュレーションを用いてボリソフ彗星の軌道を遡り、その故郷を調べたものです。

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K2-138系の惑星質量

K2-138系の惑星

6つの惑星が知られている「K2-138」系の惑星質量が地上からの観測で明らかになりました。

「K2-138」系は「ケプラー」宇宙望遠鏡の延長ミッションに当たる「K2ミッション」で6つの惑星が見つかた惑星系です。この系には、惑星の公転周期が整数比に近くなる「軌道共鳴」が見られ、特に内側5つの惑星が公転周期約2:3の比で連なっていることが特徴です。

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小惑星帯から海王星に相当する軌道を往復する巨大惑星

視線速度法の観測で潰れた楕円軌道を約70年かけて公転する惑星「HR 5183 b」が発見されました。この星はこれまでに視線速度法で見つかった中で最も長い公転周期を持ちます。

HR 5183 bと太陽系の木星型惑星・天王星型惑星の軌道の比較。

カリフォルニア工科大学に所属する Sarah Blunt 氏らがarXivに投稿した研究(arXiv:1909.09925)は、恒星「HR 5183」に視線速度法(RV法)で惑星「HR 5183 b」を発見したことを伝えています。

RV法は惑星の公転に伴って主恒星の視線速度(奥行き方向の速度)が変わることをドップラー効果を通じて調べる方法です。惑星が真円軌道をもつケースでは視線速度は単純な波形(サイン曲線)に沿って変動しますが、楕円軌道の場合は歪んだ形になります。

関連記事:系外惑星の観測方法#視線速度法

太陽に似た比較的明るい恒星HR 5183は、1997年からRV法で観測されてきました。10年以上に渡ってHR 5183にはほとんど変化が見られませんでしたが、2015年頃から視線速度が増加を始め、2018年に元の値より約90m/s高いピークに達した後、減少に転じました。

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公転周期の長いサブネプチューンの質量が測定される

ケプラー宇宙望遠鏡が発見した惑星「ケプラー538b」の質量が測定されました。この星は81.7日という比較的長い公転周期を持ち、周期50日以上の質量が測定された系外惑星として最小の天体となりました。

視線速度法は系外惑星の質量を調べるための代表的な手段ですが、これまでそのターゲットは質量が大きいか公転周期が短い惑星が中心でした。

カリフォルニア大学に所属する Andrew W. Mayo 氏らの国際研究グループがarXivに投稿したプレプリント(arXiv:1908.08585)は、ケプラー宇宙望遠鏡が2016年に発見した惑星「ケプラー538b」の質量を視線速度法で測定したものです。

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散開星団に見られる奇妙な星 過去に地球型惑星を飲み込んだか

散開星団M67に属する恒星「M67 Y2235」は、周囲の星と比べて異常に水素・ヘリウム以外の元素(=金属)が多いことが知られています。その原因として、この星は過去に地球型惑星を飲み込んだという研究が公表されました。

散開星団とは、同じ場所で同じ時代に生まれた恒星の集団です。星団を構成する星は同じ星間物質に起源を持つため、その元素組成は互いに似通ったものになります。

かに座にある散開星団「M67」には、1000個以上のメンバーが知られており、この種の星団としてはかなり古い40億年前後の年齢があります。ここに含まれる恒星「M67 Y2235」は、2019年の研究で、星団の他のメンバーと比べて異常に高い金属量(=水素・ヘリウム以外の元素の割合)を示すことが明らかになりました。具体的には他の同様の星と比べて34%ほど金属量が高く、単なる個体差の範囲を超えています。

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