TESSのデータから人工知能を用いて3つの惑星候補を発見

TESS衛星が記録した惑星トランジットの発生時刻を分析することで、これまで知られていなかった3つの惑星候補が見つかりました。研究には人工知能が補助的に用いられました。

TTVのイメージ

惑星が主恒星の手前を横切ることをトランジットといいます。トランジットに伴う恒星の減光を観測するトランジット法は、「ケプラー」宇宙望遠鏡・「TESS」衛星や地上の複数の系外惑星サーベイで用いられ、大きな成果を挙げています。

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通常、トランジットは等間隔で起きますが、1つの恒星の周りに複数の惑星がある場合、トランジットの発生時刻が半周期的に変動することがあります。この「トランジット時刻変動(TTV)」を調べれば、トランジットを起こさない軌道にある未知の惑星を見つけることができます。


米アリゾナ大学に所属する Kyle A. Pearson 氏が7月8日にarXivに投稿した研究(arXiv:1907.03377)は、TESSの観測データからTTVに基づいて3つの惑星が存在する証拠を発見したことを伝えています。研究では人工知能の技術が補助的に用いられました。

対象となったのは、TESSの惑星・惑星候補をまとめた「TOIカタログ」に記載されている天体のうち、最初の約3か月間に検出されたものです。このカタログにはTESSが新たに見つけたものに加え、以前から知られている惑星も含まれています。

TTVを探し出すには個々の天体を詳しく調べる必要があり、それには計算時間がかかります。そこでPearson氏はニューラルネットワークを用いて、誤検知の可能性の高い惑星候補を予め除外することにしました。ネットワークの学習に使うデータは、(1) モデルに基づく惑星トランジットの光度変化パターン (2) TESSの実際の観測データから抽出したノイズ の2つを合成することで作られました。

選別の結果、74個の惑星候補がTTVを詳しく調べるに値すると判断されました。

TTVの分析

TTVのイメージ
TTVのイメージ画像。トランジットに伴う減光(緑色)が起きる時刻が等間隔とならずに変動する。

対象が出揃ったところで、どのようにTTVを調べるのかが問題です。TTVは波打った変動のパターンとして表れますが、その波形はしばしば歪なものになります。単純なパターンや周期性を仮定する方法では、一部のTTVは見逃されてしまうかもしれません。

Pearson氏は重力多体シミュレーションで様々なTTVのパターンを生成し、それを観測データと比べる手法を用いました。この方法は現実に即したTTVを再現できる一方、計算時間が膨大になることが欠点です。TTVを調べるには、個々の天体に対して、惑星質量や公転周期などのパラメーターを変化させながらシミュレーションを繰り返さなければならないためです。

そこでPearson氏は、ニューラルネットワークを用いてパラメーターの範囲を事前に絞りこむことにしました。この目的のため、ランダムに生成した仮想的な惑星系で重力多体シミュレーションを行い、学習用のデータセットを作成しました。

観測を再現できるTTVのモデルが見つかると、検証は最終段階になります。「重力シミュレーションに基づくTTVモデル」と「トランジットが等間隔に起きている(=TTVがない)モデル」を統計的に比べ、前者の方が可能性が高ければ、それはTTVを引き起こす未知の惑星が存在する可能性が高いと見なせます。

3個の惑星候補

74個の天体にこれら一連の分析を適用したところ、3つの惑星系で未知の惑星が存在する証拠が見つかりました。


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