ALMAの観測で見つかった原始惑星系円盤の3重リング・その成因に迫る

電波望遠鏡ALMA(アルマ望遠鏡)の観測で、恒星HD 169142を囲むダストの円盤に3つの細いリング状の構造が見つかりました。研究では、この構造がどのように作られたのかシミュレーションで検証を行っています。

「HD 169142」は太陽の1.7倍の質量を持つ生まれたばかりの星で、年齢は約600万年(300~1200万年)です。

この星の周囲には、ガスとダストが混じった半径80天文単位の「原始惑星系円盤」が見つかっています(1天文単位=地球と太陽の距離)。円盤のダストは、中心円盤・内側のリング・外側のリング、の3つの同心円状に分布し、これらはダストの少ない領域(ギャップ)で隔てられています。

今回チリのサンティアゴ・デ・チレ大学に所属するSebastian Perez氏らの研究グループがarXivに投稿した研究は、チリのアタカマ砂漠にある最先端の電波望遠鏡群「ALMA」を用いて、HD 169142の円盤を波長1.3mmの電波で観測したものです。

この観測では解像度2天文単位という繊細な画像が得られました。これまで解像度の不足のため一続きの構造として見えていた外側のリングは、実際には3重の細いリングであることが新たに分かりました。

リングはいずれもわずかに楕円形で、3重リングのうち中間のリング(B3リング)はやや内寄りの位置にあります。

HD 169142の円盤
ALMAの観測に基づくHD 169142の原始惑星系円盤の構造。(詳細
構造半径
天文単位

天文単位
中心円盤2以下
B1リング27
B2リング57.31.5
B3リング64.21.8
B4リング76.03.4

研究グループはまた、このリングの成因に迫るために、円盤ガスとダストの中に惑星を配置した数値シミュレーションを行いました。

その結果、地球の10倍の質量を持つ1つの惑星を3重リングの位置に置くと、惑星の内側・軌道上・外側の3か所にダストが集まり、3重のリングが生じることが分かりました。

さらに、惑星が半径64天文単位の軌道にあり、内側に向けて移動しつつある(軌道半径が縮小している)と仮定すると、リングの半径や中間リングが内寄りになっている事実を説明できます。

一方で、複数の惑星が存在すれば、3重のリングの代わりに、1つの大きい隙間に隔てられた2重リングになってしまうことが分かりました。

シミュレーションで予想される惑星は、その質量の小ささから「コア集積」というプロセスで形成されつつある天体と考えられます。しかし、古典的なコア集積理論では、64天文単位の距離でこの質量の惑星が形成されることは不可能です。

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そのため、3重リングの存在は、原始惑星がミリメートルからセンチメートルサイズのダスト(ペブル)を取り込むことで効率的に成長する「ペブル集積」が働いていることを示す証拠かもしれません。

様々な波長の電波で円盤を観測すれば、円盤内のダストサイズ分布を調べることができます。研究グループはこのような観測とシミュレーションの結果を比較することで、リングとそれを形作る惑星についてより詳しく調べることができるとしています。

Perez氏らの研究は2019年2月13日にarXivに投稿され、2月15日に公開されました。

参考文献

Perez, S. et al., 2019, “Dust unveils the formation of a min-Neptune planet in a protoplanetary ring”, arXiv:1902.05143v1.

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