乾いた惑星を硫黄を通じて見分ける方法

大気中の硫黄化合物の観測を通じて、惑星表面に海が存在するかどうかを検証できるとされています。

惑星が海を持つための基礎的な要件は、惑星が地球の数分の1~数倍の質量を持つ岩石惑星で、なおかつ恒星から適度な放射エネルギーを受け取る軌道範囲(ハビタブルゾーン)にあることです。惑星質量や軌道は現時点の観測技術で容易に手が届く一方、これらはあくまで基礎的な条件に過ぎません。

ハーバード大に所属する Kaitlyn Loftus 氏らアメリカの研究チームがarXivに投稿した研究(arXiv:1908.02769)は、惑星大気中の硫黄化合物を検出することで海を持たない惑星を見分ける方法について述べています。


研究チームは、特に気体状の二酸化硫黄(SO2)と、エアロゾル(空中に浮かぶ微粒子)として存在する硫酸(H2SO4-H2O)に着目しました。仮にこれらの物質が大気中に多く存在すれば、惑星大気のスペクトル(=光の波長ごとの強さ)に、現在あるいは近い将来の観測技術で検出可能なレベルの特徴的なパターンを生じさせることになります。

硫黄は火山活動を通じて惑星内部から二酸化硫黄(SO2)などの形で放たれるものです。二酸化硫黄は下層大気の水と反応して取り除かれ、一部は上層大気に達して硫酸エアロゾルを生じさせます。そしてエアロゾルはゆっくりと沈降し、下層大気で水と反応して取り除かれます。

大雑把に言えば、二酸化硫黄や硫酸は水に溶けやすいため地球のような「湿った」惑星では存在し難く、金星のような「乾いた」惑星ではその逆が予想されます。そこで、研究チームは硫黄循環のモデルを用いて、検知可能なレベルの二酸化硫黄や硫酸エアロゾルが大気中に生じないために必要な水の量を調べました。

結果

モデルを検証した結果、惑星表面に存在する液体の水の量が増えるにつれ、二酸化硫黄や硫酸は急速に大気に留まりにくくなることが確かめられました。

地球型惑星の大気に二酸化硫黄や硫酸が見つかれば、惑星表面に存在する液体の水の量は、多く見積もっても地球海洋の0.1%以下と推定されます。この上限は海のpHや硫黄の供給量などの条件で変わりますが、現実的な想定では0.1%よりさらに厳しい上限を得ることができると見られます。

すなわち惑星のスペクトルに二酸化硫黄や硫酸エアロゾルが見いだされた場合、仮にその星がハビタブルゾーン内の地球型惑星でも、惑星表面に水がほとんど存在しない証拠と見なすことができます。そのような環境では、少なくとも、地球生命に似た生命が惑星表面に生息するのは難しいと考えられます。

今回の方法は、海が存在しない惑星を見分ける手段だということには注意が必要です。つまり硫黄化合物が検出されなかったからといって、その惑星に海が存在する証拠にはなりません。

海の存在を調べる方法としてこれまで、大気中の水蒸気や、海面からの反射光を捉える方法が提唱されていますが、それぞれの手段単独では不確かさが残ります。今回の手法を含めた多角的な証拠を集めることで、惑星の環境についてより確実に知ることができるようになります。

Luftus 氏らの研究は2019年8月7日にarXivに投稿され、9日に公開されました。

参考文献

  • Loftus, K. et al., 2019, “Sulfate Aerosol Hazes and SO2 Gas as Constraints on Rocky Planets’ Surface Liquid Water”, arXiv:1908.02769v1.

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カテゴリ:居住可能性

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