乾いた惑星を硫黄を通じて見分ける方法

大気中の硫黄化合物の観測を通じて、惑星表面に海が存在するかどうかを検証できるとされています。

惑星が海を持つための基礎的な要件は、惑星が地球の数分の1~数倍の質量を持つ岩石惑星で、なおかつ恒星から適度な放射エネルギーを受け取る軌道範囲(ハビタブルゾーン)にあることです。惑星質量や軌道は現時点の観測技術で容易に手が届く一方、これらはあくまで基礎的な条件に過ぎません。

ハーバード大に所属する Kaitlyn Loftus 氏らアメリカの研究チームがarXivに投稿した研究(arXiv:1908.02769)は、惑星大気中の硫黄化合物を検出することで海を持たない惑星を見分ける方法について述べています。

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赤色矮星の活動性と惑星の居住可能性

赤色矮星の惑星では赤色矮星の活動性が惑星の大気に大きな影響を与え、活動性が低い場合はこれまで考えられていたより生命の存在に適していることが示されました。

惑星の表面に液体の水が保たれるには、惑星が恒星に近すぎず遠すぎない軌道を持たなければなりません。恒星の周りでこの条件を満たす領域をハビタブルゾーン(HZ)といいます。HZは恒星の性質に影響され、光度の小さい赤色矮星(低温の小さい恒星)ではその範囲は恒星に近い位置になります。

米ノースウエスタン大に所属する Howerd Chen 氏らの研究グループがarXivに投稿した研究(arXiv:1907.10048)は、赤色矮星のHZにある惑星の気候を、大気中の化学反応を詳細に取り入れたシミュレーションを用いて調べたものです。

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奇妙な大気を持つ海王星サイズの惑星GJ 3470 b

系外惑星「GJ 3470 b」を調べた研究で、この惑星の大気は木星や土星に似ているものの、メタンがほとんど含まれない奇妙な組成を持つことが分かりました。

2012年に発見された系外惑星「GJ 3470 b」は、地球の4倍のサイズ(半径)と13倍の質量を持ち、3.3日周期で太陽系近傍の赤色矮星(質量の小さい恒星)の周りを公転しています。この惑星は大気の観測に適した条件が整っているため、繰り返し研究のターゲットとなってきました。

カナダのモントリオール大学に所属する Björn Benneke 氏らのグループが『ネイチャー・アストロノミー』に投稿した論文(リンク)は、「ハッブル宇宙望遠鏡」と「スピッツァー宇宙望遠鏡」の観測データを用いて、GJ 3470 bの大気を調べたものです。

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ティーガーデン星の惑星に生命は存在可能か?

ティーガーデン星の2つの地球型惑星をモデルを用いて調べた研究で、幅の広い条件で、惑星の少なくとも一部の地域に液体の水が存在可能とみられることが示されました。

太陽系から12.5光年の距離にある「ティーガーデン星」には、ごく最近2つの地球型惑星(内側の「惑星b」と外側の「惑星c」)が見つかりました。地球並みの質量を持ち地球に似た日射受けているこれらの惑星は、表面に液体の水が存在するかもしれません。

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様々なハビタブル惑星の季節変化

自転周期・自転傾斜角・公転周期・大気の質量が異なるさまざまな地球型惑星で、大気にどのような季節変化が生じるのか検証されました。

地球大気の子午面循環

イスラエルのワイツマン科学研究所に所属する Ilai Guendelman 氏と Yohai Kaspi 氏が6月13日にarXivに投稿した研究(arXiv:1906.05748)は、ハビタブル惑星の気候を様々な条件で調べたものです。研究では特に、日平均温度・大気循環の季節変化に焦点を当てています。

研究では地球と同じ大きさ・日射(太陽から受け取る放射エネルギー)の惑星を想定し、自転周期・自転傾斜角・公転周期・大気の質量を変化させながら、全球気候モデルを用いて惑星の大気をシミュレーションしました。

自転傾斜角の大きい惑星
自転傾斜角の大きい惑星
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変動するホットジュピターの大気・雲の消長反映か

ホットジュピター「ケプラー76b」の満ち欠けを調べた研究で、惑星大気に変動が起きていることが分かりました。

ホットジュピターの明るさの不均一性。

米ボイシ大学に所属する Brian Jackson 氏らが5月19日にarXivに投稿した研究(arXiv:1905.07781)は、惑星「ケプラー76b」の相(満ち欠け)と掩蔽(惑星が恒星の奥に隠れること)の変動について調べています。

「ケプラー76b」は「ケプラー」宇宙望遠鏡の主要ミッション(2009~2013年)で見つかった系外惑星で、木星の約2倍の質量を持ち、1.5日周期で主星の周りを公転するホットジュピター(=高温の木星型惑星)です。

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死にゆく恒星の周りでハビタブル惑星は

一般的なイメージに反し、寿命を迎えて膨張する赤色巨星の周りにも「生命の惑星」は存在可能です。そのような惑星の環境について調べた研究がこの度公表されました。

恒星の進化の概要

太陽のような恒星は一生の大半を安定した主系列星として過ごしますが、寿命の末期になると膨張を始めて巨星になります。

巨星の膨張とともに「ハビタブルゾーン」(惑星表面に海が存在可能な範囲)は外側に移動していきます。主系列星時代にハビタブルゾーン内に存在した惑星は生命が住めなくなる一方、かつて氷に閉ざされていた惑星が表面に生命の住める惑星になるかもしれません。

今回米コーネル大に所属する Thea Kozakis 氏と Lisa Kaltenegger 氏が『アストロノミカル・ジャーナル』で公表した研究(リンク)は、そのような巨星の周りの惑星について調べています。

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横倒しで自転する惑星では成層圏が湿潤になる?

自転傾斜角の大きい惑星

地球の赤道面は軌道面から23.4度傾いていますが、他の惑星はより傾いた自転傾斜角を持つかもしれません。そのような惑星では成層圏には水蒸気が多く含まれ、宇宙空間へ水が逃げ出しやすいとみられることが新しい研究で分かりました。

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赤色矮星のフレアに伴う紫外線は惑星の居住可能性を制限しない

赤色矮星の中には活発なフレアを示すものがあり、フレアの際に放出される紫外線は生命に有害という説があります。しかしながら惑星表面に到達する紫外線の強さを見積もった研究では、紫外線は生命の存続を脅かすレベルではないことが分かりました。

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太陽系のガス惑星に似た大気を持つ系外惑星

コア集積

系外惑星「HAT-P-26b」の観測データを再分析した研究で、この惑星の大気が、太陽系のガス惑星と同様に金属(=ヘリウムより重い元素)に富んだ元素組成を持つことが確かめられました。

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※赤色矮星の惑星に生命は存在できるのか? 前主系列段階の問題

質量が太陽のおよそ半分以下の恒星のを赤色矮星といいます。赤色矮星は銀河系にある恒星の大半を占めるため、赤色矮星の惑星に生命が発生・進化できるかどうかは、銀河系全体にどれだけ生命が存在するかを見積もるうえで大きな影響があります。

前主系列星の脅威

生命の発達を脅かしうる赤色矮星の特徴の1つとして、「前主系列段階」の長さがあります。前主系列段階とは、恒星が生まれた直後で比較的光度が大きい段階のことです。

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中型望遠鏡で観測されたホットジュピターの大気

3つの中型望遠鏡(口径1.23〜2.2m)を用いた観測で、ホットジュピター「WASP-74b」の大気に酸化チタンや酸化バナジウムが存在しているとみられることが分かりました。

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ホットジュピターの赤外線観測・「見えなかった」で分かること

ホットジュピター「HAT-P-32b」が恒星の奥に隠れる際の減光を近赤外線で調べた研究が公表されました。この観測では、これまで系外惑星で測定されたことがなかった波長帯で、反射能が上限値として求められました。

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強風が吹くホットジュピター?

高温のホットジュピター「WASP-76b」の大気に含まれるナトリウムを観測したという研究が公表されました。この観測では同時に、惑星の大気に高速の風が存在している可能性を示しています。

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重力が増えると惑星大気は…?

惑星の大気に影響を与える要素は、大気の総量・大気組成や日射の強さを始め、惑星の半径・惑星の自転速度など多岐にわたります。今回これらの要素のうち重力の影響を調べた研究で、重力以外の条件を固定した場合、重力の強い惑星大気ほど低温になることが示されました。

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