太陽系近傍の赤色矮星にハビタブル惑星候補が見つかる

太陽系近傍にある恒星「GJ 1061」の周りに3つの地球型惑星候補が見つかりました。そのうち少なくとも1つでは、惑星表面に液体の水が存在できるかもしれません。

独ゲオルク・アウグスト大学に所属する S. Dreizler氏らヨーロッパとチリの研究者からなるグループがarXivに投稿した研究(arXiv:1908.04717)は、太陽系近傍の恒星「GJ 1061」(別名ルイテン372-58)に3つの惑星候補を見つけたことを伝えています。

GJ 1061は太陽から12光年の距離にある赤色矮星(低温の小さい恒星)で、質量は太陽の12%・半径は16%しかありません。この星の質量やサイズは、太陽系最至近の恒星として知られるプロキシマ・ケンタウリに似ています。

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乾いた惑星を硫黄を通じて見分ける方法

大気中の硫黄化合物の観測を通じて、惑星表面に海が存在するかどうかを検証できるとされています。

惑星が海を持つための基礎的な要件は、惑星が地球の数分の1~数倍の質量を持つ岩石惑星で、なおかつ恒星から適度な放射エネルギーを受け取る軌道範囲(ハビタブルゾーン)にあることです。惑星質量や軌道は現時点の観測技術で容易に手が届く一方、これらはあくまで基礎的な条件に過ぎません。

ハーバード大に所属する Kaitlyn Loftus 氏らアメリカの研究チームがarXivに投稿した研究(arXiv:1908.02769)は、惑星大気中の硫黄化合物を検出することで海を持たない惑星を見分ける方法について述べています。

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「月の光」で光合成を行う生物は存在可能か

ハビタブル惑星や、木星型惑星の周りにあるハビタブル衛星で、衛星または惑星の反射光を利用して光合成を行う生物が存在する条件が調べられました。

衛星の光で光合成を行う植物の想像図。

ハーバード大に所属する Manasvi Lingam 氏と Abraham Loeb 氏がarXivに投稿した研究(arXiv:1907.12576)は、惑星-衛星系で、衛星または惑星の反射光を利用して行われる光合成について調べたものです。

研究では、(1) ハビタブルな(=生物が生息可能な)地球型惑星の周りに衛星があり、衛星の反射光で惑星上の生物が光合成を行う状況 (2) 木星型惑星の周りにハビタブルな地球型衛星があり、惑星の反射光で衛星上の生物が光合成を行う状況 の2つが想定されました。

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赤色矮星の活動性と惑星の居住可能性

赤色矮星の惑星では赤色矮星の活動性が惑星の大気に大きな影響を与え、活動性が低い場合はこれまで考えられていたより生命の存在に適していることが示されました。

惑星の表面に液体の水が保たれるには、惑星が恒星に近すぎず遠すぎない軌道を持たなければなりません。恒星の周りでこの条件を満たす領域をハビタブルゾーン(HZ)といいます。HZは恒星の性質に影響され、光度の小さい赤色矮星(低温の小さい恒星)ではその範囲は恒星に近い位置になります。

米ノースウエスタン大に所属する Howerd Chen 氏らの研究グループがarXivに投稿した研究(arXiv:1907.10048)は、赤色矮星のHZにある惑星の気候を、大気中の化学反応を詳細に取り入れたシミュレーションを用いて調べたものです。

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惑星磁場が大気の流出を必ずしも抑制しない理由

近年、惑星の固有磁場は必ずしも惑星大気を恒星風から守るわけではないことが分かってきました。新しい研究では、磁場を持った惑星で大気の散逸(流出)が増加するメカニズムを調べられました。

固有磁場が無い/弱い惑星の大気散逸。

惑星の大気はいくつかの経路で流出しています。特に太陽系の地球型惑星のような窒素や二酸化炭素を主な成分とする大気では、大気の一部がイオン化した後に、恒星風(=恒星から放たれる希薄な物質の流れ)によって運び出される効果が重要です。

地球の強い磁場は、古くから、太陽風(=太陽の恒星風)を遮ることで大気の流出を抑えると信じられてきました。しかし近年の観測では大気流出率は金星・地球・火星(※金星・火星は磁場を持たない)であまり変わらないことが分かっています。また理論面からも、磁場の存在は必ずしも大気散逸(流出)を抑制しないことが複数の研究で示されています。

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赤色矮星の惑星は必ずしも潮汐固定されているとは限らない

赤色矮星の周りにある居住可能惑星は、主恒星に同じ半球を向け続ける「潮汐固定」の状態にあるとされています。新しい研究では、条件によって惑星は容易に潮汐固定でない状態になりうることが示されました。

潮汐固定された真円軌道と楕円軌道の惑星に働く潮汐力

太陽系にある衛星の多くは、自転と公転周期が一致し、常に同じ半球を惑星に向けています。「潮汐固定」と呼ばれるこの状態は、惑星から衛星に働く「潮汐力」が原因です。

※天体の重力源に近い部位と遠い部位とでは、重力源までの距離が異なるため、異なる大きさの重力で重力源に引き寄せられます。この重力の差を天体を引き延ばす方向に働く見かけの力として表したのが潮汐力です。

系外惑星のうち主恒星に近い軌道を公転しているものも同様に潮汐固定の状態にあると信じられています。特に赤色矮星(=低温の小さい恒星)の周りにある居住可能惑星(=生命の生息可能な惑星)は、主星の光度の小ささを反映して主星に近い軌道にあるため、潮汐力が惑星に大きな影響を及ぼします。

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深海の脅威が海洋惑星を凍結させる

深い海を持った海洋惑星では、海底に「高圧氷」の層が形成されることで気候が著しく寒冷化する可能性があることが分かりました。

海洋惑星の定義の一例

地球の海洋は、太陽系内では他の惑星には見られない特徴です。しかし地球質量全体に占める割合は0.02%、地球内部の水を含めても約0.1%に過ぎません。一方で、太陽系外惑星ではより多くの水を持つ「海洋惑星」も存在すると考えられています。

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重力の弱い海洋惑星の居住可能性

重力が弱く大気が活発に流出する惑星でも、生物が生息可能な環境を一定期間保てることが分かりました。

深い海に覆われた惑星を「海洋惑星」といいます。これらの惑星には、地球のような水が質量に占める割合が0.1%に過ぎない星とは異なり、質量の1~数パーセント以上の水(氷を含む)が含まれています。

ハーバード大学に所属する Constantin W. Arnsheidt氏らの研究チームが6月25日にarXivに投稿した研究は、質量の小さい海洋惑星の居住可能性(=生物が生息できるかどうか)について調べたものです。

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赤色矮星LHS 1140の紫外線環境

ハビタブル惑星候補を持つ太陽系近傍の赤色矮星「LHS 1140」の紫外線環境を、人工衛星「スイフト」を用いて調べた研究が公表されました。

太陽系から49光年の距離にある「LHS 1140」は、質量・半径がそれぞれ太陽の0.18倍・0.21倍の赤色矮星(低温の小さい恒星)です。2017年にこの星の周りに見つかった惑星「LHS 1140 b」(以下「惑星b」)は地球の1.7倍の半径を持ち、LHS 1140のハビタブルゾーン(惑星表面に液体の水が存在可能な領域)に収まる軌道を24.7日周期で公転しています。

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ティーガーデン星の惑星に生命は存在可能か?

ティーガーデン星の2つの地球型惑星をモデルを用いて調べた研究で、幅の広い条件で、惑星の少なくとも一部の地域に液体の水が存在可能とみられることが示されました。

太陽系から12.5光年の距離にある「ティーガーデン星」には、ごく最近2つの地球型惑星(内側の「惑星b」と外側の「惑星c」)が見つかりました。地球並みの質量を持ち地球に似た日射受けているこれらの惑星は、表面に液体の水が存在するかもしれません。

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様々なハビタブル惑星の季節変化

自転周期・自転傾斜角・公転周期・大気の質量が異なるさまざまな地球型惑星で、大気にどのような季節変化が生じるのか検証されました。

地球大気の子午面循環

イスラエルのワイツマン科学研究所に所属する Ilai Guendelman 氏と Yohai Kaspi 氏が6月13日にarXivに投稿した研究(arXiv:1906.05748)は、ハビタブル惑星の気候を様々な条件で調べたものです。研究では特に、日平均温度・大気循環の季節変化に焦点を当てています。

研究では地球と同じ大きさ・日射(太陽から受け取る放射エネルギー)の惑星を想定し、自転周期・自転傾斜角・公転周期・大気の質量を変化させながら、全球気候モデルを用いて惑星の大気をシミュレーションしました。

自転傾斜角の大きい惑星
自転傾斜角の大きい惑星
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褐色矮星の生命 近い将来に観測可能か

褐色矮星の大気には微生物が存在し、その証拠は近い将来に容易に観測できるようになるかもしれないという研究が公表されました。

大気中に生息する微生物の想像図。

地球生命の大部分は地表・海中・地中に生息しています。一方で、大気中に漂うエアロゾル(微粒子)で暮らす微生物もいます。これは天体の大気も生命の居所となり得ることを示しています。

大気の居住可能性(=生命が生息可能かどうか)はあまり大きな注目を集めていませんが、太陽系内では金星や木星について調べた研究が古くからあります。また近年では太陽系外の巨大ガス惑星や褐色矮星の大気についても論じられるようになっています。

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横倒しに自転する惑星は地球より生命に適しているかもしれない

横倒しになった自転軸を持つ惑星は、地球のような惑星と比べて、いくつかの理由で生物の生息に適した環境を維持しやすいという研究が公表されました。

自転傾斜角の大きい惑星

地球の自転軸は23.4度傾いていますが、これは惑星がとりうる様々な自転傾斜角の一例にすぎません。自転傾斜角と惑星の「居住可能性」(生物が生息可能かどうか)がどのように関わっているかは大きな関心事です。

米ゴダード宇宙科学研究所に所属する Christopher M. Colose 氏らが5月22日にarXivに投稿した研究(arXiv:1905.09398)は、自転軸が大きく傾いた惑星の気候を調べたものです。特に、日射量の少ない環境に焦点を当てています。

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生命の星はありふれたものか?

太陽型の恒星1個当たりに存在するハビタブル惑星(生命が存在可能な惑星)の個数が「ケプラー」宇宙望遠鏡のデータに基づいて新たに調べられました。その値とは…

ケプラーの主要ミッション(2009〜2013年)は、地球のようなハビタブル惑星の存在頻度を調べることが目的の一つでした。今回米カリフォルニア大学に所属する Jon K. Zink 氏らがarXivに投稿した研究(arXiv:1905.01032)は、それについて最新の値を求めたものです。

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海洋惑星の居住可能性・二酸化炭素が脅威となる?

「海洋惑星」には水の他に二酸化炭素が含まれます。新しい研究ではこれまでよく分かっていなかった海洋に溶け込めない二酸化炭素がの振る舞いが調べられました。

海洋惑星の定義の一例

地球に含まれる水(H2O)は惑星質量の0.1%にすぎません。一方で地球以外では、集積の過程で大量のH2Oを揮発性物質の形で取り込んだ「海洋惑星」が存在すると考えられています。

今回米シカゴ大に所属する Nadejda Marounina 氏と Leslie A. Rogers 氏がarXivに投稿した研究(arXiv:1904.10458)は、そのような海洋惑星を扱っています。

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