打ち上げへ向けて準備が進むCHEOPS その実力とは?

「CHEOPS」は今年後半に打ち上げが予定されているヨーロッパの系外惑星観測衛星です。今回この衛星に搭載される観測システムの性能を調べた研究が公開されました。

欧州宇宙機関とスイスが開発を主導し、2019年10~11月に打ち上げが予定されているの「CHEOPS」(ケオプス、CHaracterising ExOPlanet Satellite)は、系外惑星が恒星の手前を横切る「トランジット」を観測する人工衛星です。

これまでトランジット法用に打ち上げられた宇宙機「COROT」「ケプラー」「TESS」は、多くの恒星を同時に観測して新しい系外惑星を見つけることを主眼としていました。一方でCHEOPSは既知の惑星をターゲットに、特定の時刻に特定の天体を指向して観測することで、比較的小型・安価な衛星でありながら、トランジットに伴う光度変化を高い精度で測定することができます。

CHEOPSが性能を発揮するためには、打ち上げに先立って地上(実験室)で実機の特性を検証・較正することが前提です。スイスのジュネーブ大学に所属する A. Deline 氏ら研究チームが8月5日arXivに投稿した研究(arXiv:1908.01636)は、そのような検証の結果を伝えています。


研究チームは専用の測定システムをスイスのベルン大学に設置し、CHEOPSが実際に搭載する30cm反射望遠鏡を中心とした観測システムの試験を行いました。測定システムは搭載機器に均一な光を入射させてセンサー全体の特性を測るモードと、点光源を入射させて実際の観測に近い状況を作り出すモードが用意されていましたが、後者に関しては技術的問題とスケジュールの制限のため十分な検証が行えませんでした。

センサー全体に均一光を長時間当てて測定した特性によると、CHEOPSの観測装置は5時間の観測で15ppm(100万分の15)の精度を達成できることが分かりました。これはミッションの要求値である6時間で20ppmを満たすものです。

また研究チームは測定結果を元に、トランジット惑星を現実的な条件で観測した場合を想定して、どれほどの精度で惑星のサイズを測れるかシミュレーションしました。その結果、「太陽サイズの恒星の周りを50日で公転する地球サイズの惑星」では、2回分のトランジットの観測で惑星のサイズを5%の精度で測定可能と見積もられました。また「K型主系列星(太陽よりやや小さい星)の周りを13日で公転する海王星サイズの惑星」では1回分の観測だけで精度は2%に達すると予想されました。

一連の検証にはスケージュールの制約からいくつか不完全な点が残っていますが、CHEOPに搭載される望遠鏡の実機を用いたテストで計画通りの性能を発揮できることが示されたことは一安心といえそうです。

CHEOPSのミッション内容は、主に既知の惑星・惑星候補のフォローアップ観測です。その働きは多数の惑星を発見しているケプラーやTESSと比べて地味なものになると予想されますが、地上からの観測が難しい小型の系外惑星について貴重なデータをもたらすことが期待されます。


Deline 氏らの研究は2019年8月5日にarXivに投稿され、6日に公開されました。コメントによると研究は『アストロノミー・アンド・アストロフィジックス』に掲載予定ということです。

参考文献

  • Deline, A. et al., 2019, “Expected performances of the Characterising Exoplanet Satellite (CHEOPS) I. Photometric performances from ground-based calibration”, arXiv:1908.01636v1.

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カテゴリ:トランジット法

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