若いホットジュピターの光が観測される

生まれて間もない恒星の周りに見つかっていたホットジュピター(高温の木星型惑星)のスペクトルが、直接的な技法で測定されました。

「おうし座CI星」は おうし座の方角にある太陽の9割の質量を持つ恒星です。この星は生まれてから200-300万年しか経っていない若い恒星(Tタウリ星、前主系列星)で、周囲に塵とガスの円盤(=原始惑星系円盤)を従えています。

おうし座CI星の周りには2016年に惑星候補「おうし座CI星b」が発見されました。この天体は8.99日で軌道を一周するホットジュピターで、若い星の周りに視線速度法で見つかった数少ない惑星候補の1つです。

※視線速度法とは、惑星の公転運動に伴って「恒星が」放つ光のドップラー効果(視線速度に対応)が変動することを観測する方法です。

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研究

テキサス州のライス大学に所属する Laura Flagg 氏らが6月7日にarXivに投稿したプレプリント(arXiv:1906.02860)は、惑星 おうし座CI星bのスペクトル(光の波長ごとの強さ)を調べたものです。

おうし座CI星bの軌道は主恒星のすぐ近くにあります。このような惑星を調べる方法として、惑星の公転運動に伴って惑星が放つ光のドップラー効果が大きく変動することを利用するものがあります。惑星系(=恒星+惑星)のスペクトルを繰り返し観測し、大きなドップラー効果の変化を含む成分を抜き出せば、惑星に由来するスペクトルを得ることができます。

研究には赤外線分光器「IGRINS」が用いられました。赤外線では可視光と比べて恒星と惑星の光度差が小さくなるため、惑星の観測に適しています。IGRINSは複数の望遠鏡に取り付けられますが、今回の観測はテキサス州マクドナルド天文台2.7m望遠鏡とアリゾナ州ローウェル天文台4.3m望遠鏡で行われました。

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結果

研究チームは観測データを処理して おうし座CI星bに由来するスペクトルを抜き出しました。このスペクトルは惑星の公転に伴ってドップラー効果が大きく変動し、惑星大気の組成を反映した一酸化炭素特有のパターンが表れていました。

ドップラー効果の変動幅から惑星の見かけの公転速度は秒速77kmと見積もられました。これを理論上の惑星の公転速度と比べると、軌道面は真横(エッジオン状態)から約40度傾いていることが分かります。惑星質量はこれまでの視線速度法の観測と組み合わせることで木星の約11.6倍と推定されました。

軌道面の傾きの大きさを考えると、おうし座CI星bがトランジット(恒星の手前を横切ること)を起こしている可能性はほとんど無いと見られます。

また赤外線(Kバンド)を通して見た惑星の明るさは恒星のおよそ170分の1でした。この明るさを説明するには、惑星が十分に温度が高い状態で生まれた(=ホットスタート)と仮定する必要があります。


これまで若い惑星は主に直接撮像法で調べられてきましたが、この方法では惑星質量をモデルに基づいて間接的にしか推定できない問題がありました。研究チームは、今回の研究はTタウリ星の惑星系で惑星質量を直接的に求めた最初の研究だとしています。

研究チームは今後、一酸化炭素に加えて水蒸気のスペクトルを調べて惑星大気の化学組成を調べるなど、より詳しい研究を進めたいとしています。

Flagg氏らの研究は2019年6月7日にarXivに投稿され、10日に公開されました。コメントによると研究は『アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ』に掲載予定ということです。

参考文献

  • Flagg, L. et al., 2019, “CO Detection in CI Tau b: Hot Start Implied by Planet Mass and MK“, arXiv:1906.02860v1.

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カテゴリ:ホットジュピター

更新履歴

2019/06/14 – 関連記事の追加・表現の一部修整

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