異例の星で彗星の痕跡を検出か

若い高温の恒星の中には、蒸発す彗星によって周囲にガス生じているものがあります。新しい研究では、同様の現象がより温度が低く年老いた星でも起きている可能性を報告しています。


誕生から数千万年が過ぎた恒星の周囲にガスが見つかることがあります。これは恒星に接近して蒸発する彗星により生じると考えられています。

※生まれたばかりの星は、ガスを主成分とした「原始惑星系円盤」に囲まれていますが、これは1000万年未満で無くなるため、誕生から数千万年の星に観測されるガスはこれとは別物です。

Barry Y. Welsh 氏と Sharon L. Montgomery 氏が『Research Notes of the AAS』に投稿した研究は、「HD 109085」と呼ばれる恒星に、蒸発する小天体の痕跡を発見したかもしれないと報告しています。

著者らは、2017年6月5日・6日と2018年4月27日・29日に、HD 109085のスペクトル(光の波長ごとの強さ)を、米マクドナルド天文台の2.1m望遠鏡で観測しました。

2018年4月29日のスペクトルを他3回分と比べたところ、CaII線と呼ばれる波長で光の吸収に変化が見つかりました。その変化は、HD 10985に接近した小天体が恒星の近くにガスを供給したと解釈できるものです。ただし観測データにはノイズが多く、著者らは変化が統計的に意味のあるものと断定できませんでした。

異例の天体

観測結果は依然不確かですが、HD 109085 は同種の星の中で「レコードブレーカー」となりうる存在です。

まず、HD 109085のスペクトル分類はFです。これまで同種の現象が見つかった星は、スペクトル型がAの恒星に限られていました。恒星のスペクトル型は、温度の高い順に O B A F G K M で表されるため、同種の星としてHD 109085はこれまでにない低温の星ということになります。

HD 109085の14億年という年齢も注目に値します。これは太陽の46億年より若い値ですが、これまで同様の変動が見つかった星は最も古いもので4億年とされていました。


今回の結果は、原始惑星系円盤が失われた後もHD 109085の周りにある惑星系が変化を続けていることを示しています。この星の周りでは、惑星系の内側に入り込む彗星が水や有機物を地球型惑星に運ぶプロセスが今なお進行しているのかもしれないとWelshらは想像しています。

Welsh氏とMontgomery氏の研究は、2019年1月28日に『Reserch Notes of The AAS』(RNAAS) の掲載記事としてオンラインで公開されました。

参考文献

  • Welsh, B. T. & Montgomery, S. L., 2019, “Warm Circumstellar Disk Gas Surrounding the 1.4 Gyr Old F2V Star HD 109085?”, Res. Notes AAS 3, 25.

更新履歴

  • 2019/5/11 – 全面改稿(彗星が飛び交う14億歳の星?)

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