視線速度法で見つかった5つの長周期天体

Rickman et al. 2019 (arXiv:1904.01573) で研究された惑星と褐色矮星。

20年以上続けられている視線速度法のサーベイで、5つの惑星・褐色矮星が見つかりました。これらはいずれも木星より大きな質量を持ち、主恒星の周りを15年以上かけて公転しています。


スイスのジュネーブ大学に所属する E. L. Rickman 氏らがarXivに投稿したプレプリント(arXiv:1904.01573)は、チリのラ・シヤ天文台「オイラー」1.2m望遠鏡に設置された分光器「CORALIE」を使ったサーベイの成果を報告しています。

このサーベイは太陽系近傍(50パーセク以内、約300光年以内)に存在する太陽に似た恒星を対象に、1998年から視線速度法の観測を20年以上続けています。

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発見

今回の研究では、3つの惑星と2つの褐色矮星が新たに見つかった他、これまで存在が不確かだった惑星候補「HD 92788 c」の実在を確かめました。また、既に存在が知られている3つの惑星について軌道や質量などの情報を更新しました。

※褐色矮星とは、惑星より大きく恒星より小さい質量をもつ天体のことです。惑星と褐色矮星の境界は一般的に木星質量の13倍とされますが、この境界付近にある惑星と褐色矮星の違いは不明確です。

見つかった5つの天体はいずれも15年以上かけて軌道を一周し、軌道半径は5天文単位(=地球と太陽の距離の5倍)以上に達します。この周期や軌道半径は木星(公転周期12年、軌道半径5.2天文単位)を上回っています。

Rickman et al. 2019 (arXiv:1904.01573) で研究された惑星と褐色矮星。
Rickman et al. 2019 (arXiv:1904.01573) で研究された惑星と褐色矮星。円のサイズは天体質量の立方根を表す。赤が新たに発見された惑星、青が新たに発見された褐色矮星、白が既知の惑星の情報を更新したもの、点線丸が比較のために示した太陽系の惑星を表す。横線は多重惑星系の内側の惑星、縦線は外側の惑星を表す。

また、今回研究された9つの天体は全て木星より大きな質量を持ち、「HD 50499 c」を除く8つは潰れた楕円軌道(離心率の大きい軌道)を公転しています。

このような天体がどのように作られるのかは不明です。木星と同じように(コア集積で)形成された後に楕円軌道になった可能性もありますし、木星と異なるメカニズムで形成された可能性もあります。


今回見つかった惑星は主恒星から離れた軌道にあり、なおかつ質量が大きいため、直接撮像法のターゲットとしても期待できます。

これまでの直接撮像法は生まれたばかりの巨大惑星に限られてきましたが、研究グループによると、VLT望遠鏡(チリ・パラナル天文台)が備える最新の「SPHERE」撮像装置や、計画中のELT望遠鏡・「METIS」撮像装置を用いれば、今回のような惑星を直接撮像できるかもしれないということです。

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Rickman氏らの研究は2019年4月2日にarXivに投稿され、3日に公開されました。

参考文献

  • Rickman, E. L. et al., 2019, “The CORALIE survey for southern extrasolar planets XVIII. Three new massive planets and two low mass brown dwarfs at separation larger than 5 AU”, arXiv:1904.01573v1.

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