直接撮像法が解き明かす褐色矮星と巨大ガス惑星の分布

系外惑星や褐色矮星を直接撮像法で調べているサーベイ(掃天観測)の途中経過が公表されました。この研究では、300個の恒星を観測した結果に基づき、大きな軌道を持つ巨大ガス惑星(木星型惑星)の存在頻度や分布の傾向を統計的に調べています。


今回スタンフォード大学に所属する Eric L. Nielsen 氏らがarXivに投稿した研究(arXiv:1904.05358)は、太陽系近傍にある約600個の若い恒星を対象に2014年から行われている「GPIES」サーベイの経過を伝えています。

ジェミニ南望遠鏡と撮像装置「GPI」を使って行われているGPIESは、「直接撮像法」で惑星・褐色矮星を検出することが目的です。今回の研究は2016年途中までに観測した300個のターゲットに基づいて、惑星/褐色矮星の存在頻度を調べています。

関連記事:系外惑星の観測方法#直接撮像法

※褐色矮星は惑星と恒星の中間の質量(木星の約13~80倍)を持つ天体です。

検出された天体

直接撮像法は他の方法では検出できないような軌道の大きい惑星を観測できます。検出可能な惑星は、恒星からおよそ数~100天文単位(1天文単位=地球と太陽の距離)にあり、木星の数倍以上の質量を持つ、若い巨大ガス惑星(木星型惑星)です。また同様の軌道にある褐色矮星も観測できます。

対象となった300個の恒星の周りには惑星6個と褐色矮星3個が見つかっています。このうち2つはGPIESで発見されたものです。また複数の惑星をもつ恒星が1例含まれます(HR 8799、3つの惑星)。

惑星の分布

研究グループは検出した天体を惑星(木星質量の13倍以下)と褐色矮星(13倍以上)に分けて考えました。

検出された6つの惑星は全て質量の大きい恒星(太陽質量の1.5倍以上)の周りにあります。「主星から3~100天文単位・質量が木星の2~13倍の惑星」について観測の不完全さを考慮して見積もると、質量の小さい恒星(1.5太陽質量以下)にはそのような惑星は6.9%以下の頻度でしか存在しないのに対し、大きい恒星では24 -10/+14 %でした。

惑星の質量や軌道が大きくなると存在頻度は低くなることも分かりました。「主星からの距離が10~100天文単位・惑星質量が木星の5~13倍」の惑星が質量の大きい恒星の周りに存在する頻度は9 +5/-4 %でした。

褐色矮星

惑星より観測しやすいはずの褐色矮星は3つしか検出されていません。全質量の恒星について考えると、褐色矮星の存在頻度は惑星より低い0.8 +0.8/-0.5%に留まります。

また褐色矮星では質量や軌道によって存在頻度が大きく変わる傾向は見られませんでした。褐色矮星と惑星で傾向が異なることは、2種類の天体が別のメカニズムで作られることを示唆しています。

これまでの研究との比較

直接撮像法では軌道の小さい惑星(約10天文単位以内)は観測できませんが、代わりに視線速度法(RV法)で調べた研究があります。

関連記事:系外惑星の観測方法#視線速度法

RV法を用いたこれまでの研究では、軌道の小さい巨大ガス惑星について、(1) 主恒星の質量が大きいほど惑星の存在頻度が高まる、(2) 惑星質量が大きくなるほど存在頻度が低くなる、(3)惑星の存在頻度は軌道が大きくなるにつれ徐々に高まり1~10天文単位でピークに至った後減少に転じる、ことが示されています。これらは今回の研究で見られた傾向と一致しており、軌道の大小にかかわらず似たような傾向が存在することが分かりました。


直接撮像法は軌道の大きい惑星に始まり、技術の進歩に伴って範囲を内側に拡げています。一方RV法を始めとする他の多くの観測方法は内から外へ進んでいます。これらが統合され、惑星系全体を調べることができる時代が訪れつつあることを今回の研究は示しています。

直接撮像法のターゲットは現時点では若い星に限られますが、より波長の長い赤外線を用いれば比較的年老いた惑星の観測が可能になります。現在開発中の「ジェームズウェッブ宇宙望遠鏡」や3基の超大型望遠鏡は、そのような観測に特に適していると研究グループは述べています。

Nielsen氏らの研究は2019年4月10日にarXivに投稿され、12日に公表されました。

参考文献

  • Nielsen, E. L., 2019, “The Gemini Planet Imager Exoplanet Survey: Giant Planet and Brown Dwarf Demographics From 10-100 AU”, arXiv:1904.05358v1.

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