ラグビーボール型超短周期惑星

歪んた惑星
歪んた惑星

公転周期0.177日の太陽系外惑星「KOI-1843.03」は、現時点で公転周期のレコードホルダーです。

この星を数値モデルにより調べた研究で、惑星質量の半分以上は金属質のコアで占められており、形状もラグビーボール型に変形していることが明らかになりました。

1日以下で恒星の周りを公転する「極超短周期惑星」(Ultra-Short Period Planet, USPPまたはUSP) は、太陽に似た恒星では0.5%の頻度でしか存在しない珍しい系外惑星です。

恒星に近い軌道にあるUSPは、恒星からの潮汐力が無視できません。

潮汐力とは、ある天体が別の重力源から力を受けている状況を考えるとき、その天体の重力源に近い部位と遠い部位との間で重力源から受ける力に差が出ることで、天体が引き伸ばされる力のことです。

地球では、月と太陽の潮汐力が潮の満ち干として表れますが、USPに働く潮汐力は、天体全体を変形させ、極端な例では崩壊までさせるものです。

今回ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの E. M. Price 氏とシカゴ大学の L. A. Rogers 氏が新たにarXivで公表した研究は、潮汐力や内部構造を含めて極超短周期惑星 (USP) を詳細にモデル化しシミュレーションしたものです。

二人がモデルケースとして選んだのは、既知の惑星・惑星候補の中で最も公転周期が短い星として知られる「KOI-1843.03」(公転周期0.177日)です。

この星は現時点で実在が確認されていない「惑星候補」ですが、二人は実在するとの前提に立ち、研究を進めました。

歪んだ鉄の惑星

KOI-1843.03は金属質(主に鉄)のコアと岩石のマントルからなる地球型惑星と考えられていますが、詳しい組成は分かっていません。そこで二人はコアの比率を変えながらシミュレーションを行いました。

その結果、この惑星は潮汐力で粉々にならないためには、密度の高いコアが惑星質量の60%以上を占める必要があることが明らかになりました。

比較として、太陽系の岩石惑星についてコアの比率をみると、地球・金星・火星は約30%という似た値になっている一方、水星は70%という大きな比率を占めます。KOI-1843.03は、水星に匹敵す大きな比率のコアを持つことになります。

歪んだ惑星
歪んだ惑星の想像図

また、KOI-1843.03は、恒星から受ける極めて強い潮汐力のために、視覚的にはっきりとわかるほど、主星の方向へ向かって引き伸ばされた楕円体になっていることが分かりました。長軸と短軸の比は、少なくとも1.31です。想定するコアの比率が小さい(惑星の平均密度が小さい)ほど惑星は細長くなり、最大で比は1.79に達します。

著者らは、KOI-1843.03に似たUSP「K2-137b」でもシミュレーションを行い、この惑星のコアの比率を42%以上と見積もりました。形状はKOI-1843.03ほど極端ではないものの、最大で1.66倍に引き伸ばされた楕円体になっていることが分かりました。

KOI-1843.03K2-137b
公転周期0.177日0.180日
半径
地球比
0.61±0.100.89±0.09
長/短軸1.31-1.791.21-1.66
質量
地球比
0.32-1.061.01-2.80
コア60%以上42%以上

USPの中には、KOI-1843.03やK2-137b以外にも、コアの比率が大きいとみられるものがあります。太陽系の水星はUSPではないもののコアの比率が大きい点でこれらに類似しており、USPの研究は水星の形成に関するヒントとなるかもしれません。

これまでに知られているUSPはケプラー宇宙望遠鏡が発見した暗い恒星を回るものが大半ですが、2018年に打ち上げられた人工衛星「TESS」ではフォローアップ観測に適したUSPを数多く発見できると考えられており、今後の進展が期待されます。

Price氏とRogers氏の研究は2019年1月30日にarXivに投稿されました。

参考文献

Price, E. M. & Rogers, L. A., 2019, “Tidally-Distorted,Iro-Enhanced Exoplanets Closely Orbiting Their Stars”, arXiv: 1901.10666v1.

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