塵はいつ山になるのか、山はいつ塵になるのか

惑星の材料である微惑星は、ガスとダストが混在する環境で作られます。その成長には、ダスト分布の濃淡が時間と共に拡大することが重要と考えられています。

今回公表された研究は、これを検証するため、薄いガスの中に置かれたダストの振る舞いを調べたものです。その結果、ダスト粒子の振る舞い方が、全体のダスト/ガス比から大きな影響を受けて変化することが確認されました。

惑星の形成は、恒星を取りまく「原始惑星系円盤」の中でダスト(塵)が成長することで始まります。

ダストの成長は、ミリメートルからセンチメートルサイズで一度頭打ちになります(この状態のダストは「ペブル」とも呼ばれます)。

ここから先は、原始惑星系円盤の中でダスト分布の濃淡が大きくなり、その濃い部分が重力で寄り集まってキロメートルサイズの微惑星になると考えられています。

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原始惑星系円盤の主成分はガス(気体)で、これに少量のダストを含んでいます。濃淡が大きくなるためには、ガスに対するダストの比率が十分大きく、ガスとダストが互いに影響を与え合うような状況が必要です。

このようなダストの濃淡の成長を扱った研究は、これまで数値研究として多くの成果が伝えられている一方、実験室での実験はほとんどありませんでした。

実験

Niclas Schneider氏らの研究チームが『アストロフィジカル・ジャーナル』に投稿した論文は、ダストとガスが共存する環境下での実験を扱っています。研究チームは、特に、ダスト/ガス比の変化に伴うダスト粒子の振る舞いの移り変わりに注目しました。

実験のためには、ダスト粒子が薄いガスの中に浮かび続ける必要があります。

そこで研究チームは、内部を低圧にした円筒装置を用意しました。この円筒を、内部のガスと共に回転させ、そこにダストを投入します。円筒内の、ある範囲では、重力によるダストの沈降と回転するガスの流れとが打ち消し合い、ダスト粒子が空中に留まります。

実験は30秒で、その間に撮影した画像から個々のダスト粒子の沈降速度を調べました。

結果

ダスト粒子は実験中にも継続的に投入されましたが、円筒の内壁に落ちるなどして取り除かれるダスト粒子の方が多いため、実験中にダスト/ガス比は0.15から0.07に下がりました。これを利用して異なるダスト比での粒子の振る舞いを調べました。

実験では、ダスト/ガス比0.08を境に、ダストの振る舞いが大きく変化することが分かりました。

ダスト/ガス比が大きいうちは、ダストが濃く分布している部分に含まれる粒子ほど沈降速度が速くなりました。

一方で、ダスト/ガス比が0.08以下になると、ダストの濃淡に関係なく、全てのダスト粒子がほぼ同じ速度で沈降しました。

この結果は、ダスト比が少ない時は、ダストの濃淡に関係なく個々の粒子はほぼ「独立した粒子」として動いているのに対し、ダスト比が大きい時は、ダストの濃い部分は(物理的に繋がった塊ではないにも関わらず)ある種の「塊」のように振る舞っていることを示します。

今回の研究は、ダストの濃淡の成長を直接観測したものではありませんが、ダスト/ガス比によってダストの振る舞いが変わるという予測を実験的に裏付けました。ダスト/ガス比の大きいときに見られるような、ダストの濃淡によって沈降速度が変わる振る舞いは、ダストの濃淡を成長させる潜在的なメカニズムとなるかもしれません。

これまでの微惑星形成に関する実験は、ダストの成長が頭打ちになる前の最初の段階を扱うものが中心でした。今回の実験はその先の領域に進む研究と言えます。

今回のような気体と固体が混在する環境では、複雑で、時として予期しない現象が起きることが知られています。今後理論面の研究と実験を組み合わせることで、惑星形成の謎が解明されていくことが期待されます。

Schneider氏らの研究は2019年2月6日に『アストロフィジカル・ジャーナル』に掲載されました。また同論文のプレプリントは2月7日にarXivに投稿されました。

参考文献

  • Scneider, N., et al., 2019, “Dense Particle Clouds in Laboratory Experiments in Context of Drafting and Streaming Instability”, ApJ 872, 3. (arXiv:1902.02549)

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