年老いた星に楕円軌道のホットジュピター

NASAの人工衛星「TESS」が、「TOI-172」と呼ばれる年老いた恒星にホットジュピター(高温の木星型惑星)を発見しました。この星は、質量が大きく楕円軌道を持つという、ホットジュピターとしては珍しい性質を備えています。

ハーバード・スミソニアン天体物理学センターの J. E. Rodriguez 氏らがarXivで公表した論文は、TESSによる惑星の発見を報告するものです。

惑星系の主恒星「TOI-172」は、「セクター1」と呼ばれる期間中にTESSに観測されていました。研究チームがTOI-172の光度を調べたところ、惑星が恒星の手前を横切る際の減光(トランジット)を示す周期的な光度変化が見つかりました。

研究チームは地上の望遠鏡を用いてフォローアップ観測を行い、光度変化が惑星によるものと確認しました。

なお、TESSは優先目標の光度を2分間隔で記録しますが、TOI-172はこれに含まれていないため、30分間隔のデータしかありませんでした。TOI-172はTESSの30分間隔のデータから惑星が見つかった最初の例です。

属性過多?な惑星系

この惑星系の特徴の1つは、主星の「TOI-172」が年老いた恒星だということです。

項目TOI-172太陽
種類準巨星主系列星
質量1.121
半径1.771
光度2.91
温度5640 K5780 K
年齢約75億年46億年

※質量・半径・光度は太陽を1とした値

この恒星は、同程度の質量を持つ通常の恒星(主系列星)と比べて、表面温度が低く、半径が大きくなっています。これは主系列星から巨星へ変化しつつある「準巨星」の特徴です。

また、発見された惑星「TOI-172b」も特徴的です。

項目TOI-172b
公転周期9.477日
離心率0.38
軌道長半径地球の0.091倍
質量木星の5.4倍
半径木星の0.97倍

この惑星の公転周期は9.48日で、「公転周期10日未満の木星型惑星」として定義されるホットジュピター (HJ) としては比較的主星から離れています。

また、HJの質量は木星以下が多いのですが、この惑星では木星の5.4倍に達します。

さらに、HJの多くは真円に近い軌道を持つのに対し、この惑星は潰れた楕円軌道です。楕円の潰れ具合を表す離心率は、0.38です。

この楕円軌道は、HJとしては主星から離れていることと質量が大きいことにより、恒星との相互作用で円軌道化する作用があまり働かなかったためと見られています。

観測上の意義

ホットジュピター (HJ) が形成されるメカニズムはいくつか存在しますが、TOI-172のような楕円軌道を持つ場合は、惑星系形成の後期に惑星同士の相互作用で今の軌道に移動してきたと考えられています。

起源が異なるHJは異なる大気を持つと予測されているため、TOI-172のように大気以外から起源を推定できる惑星は興味深い存在です。大気を観測すれば、HJの形成理論を検証できるからです。

しかし、TOI-172bのような楕円軌道を持つHJは例が少なく、見つかったものも、大気の観測に適さない暗い主星の惑星系に含まれる例が大半です。

その点、主星が比較的明るく大気の観測に適したTOI-172系は、重要な惑星系として注目されます。

Rodriguez氏らの研究は2019年1月28日にプレプリントとしてarXivに投稿されました。

参考文献

Rodriguez, J. E. et al., 2019, “An Eccentric Massive Jupiter Orbiting a Sub-Giant on a 9.5 Day Period Discovered in the Transiting Exoplanet Survey Satellite Full Frame Images”, arXiv:1901.09950v1.

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