生命の星はありふれたものか?

太陽型の恒星1個当たりに存在するハビタブル惑星(生命が存在可能な惑星)の個数が「ケプラー」宇宙望遠鏡のデータに基づいて新たに調べられました。その値とは…

ケプラーの主要ミッション(2009〜2013年)は、地球のようなハビタブル惑星の存在頻度を調べることが目的の一つでした。今回米カリフォルニア大学に所属する Jon K. Zink 氏らがarXivに投稿した研究(arXiv:1905.01032)は、それについて最新の値を求めたものです。

研究の手法は、ケプラーが観測ターゲットとしていたの「太陽型星」(太陽に似た星)に仮想的な惑星系を配置し、どれほどの割合でハビタブル惑星が含まれるかを調べるものです。仮想的な惑星系に含まれる惑星の数や惑星の軌道・サイズは、今回の著者らによる前回の研究(Zink et al. 2019)で得られた確率分布に基づいています。

結果

惑星のトランジットを観測するケプラーの想像図

ハビタブル惑星のサイズを広く定義した場合(地球半径の0.72〜1.70倍)、太陽型星の26.1±0.9%が1個以上のハビタブル惑星を持ち、太陽型星全体の6.4±0.5%(ハビタブル惑星を持つ恒星の25%)には複数のハビタブル惑星がありました。恒星1個あたりの平均個数は0.34±0.02個でした。

一方でハビタブル惑星のサイズを狭く定義した場合(地球半径の0.72〜1.0倍)、ハビタブル惑星をもつ太陽型星の割合は13.9±0.7%、複数持つ割合は全体の1.8±0.2%、恒星1個あたりの個数は0.158±0.008個でした。

ハビタブル惑星の頻度はこれまで繰り返し研究されてきました。今回の研究やその元となった前回の研究(Zink et al. 2019)では「ケプラー」や「ガイア」衛星などの最新データを採り入れた他、惑星を複数持つ系では2つ目以降の惑星が検出されにくいうという従来知られていなかったバイアスを考慮したことが新しい部分です。

今回の結果は従来の研究と矛盾しないものの、複数のハビタブル惑星を持つ系がより多く存在することを示しています。

ハビタブル惑星の定義と影響

この種の研究ではハビタブル惑星の範囲をどう定めるかが重要です。範囲が広ければそれだけ頻度・平均数は多くなります。

まず大前提の「太陽型星」は、有効温度が4200〜6100ケルビン(約3900〜5800℃)・半径が太陽の2倍以下・表面重力がある程度高い(log gの値が4以上)恒星として定義されています。なお太陽の有効温度は5780ケルビンです。

惑星は、表面に海が存在できる「ハビタブルゾーン」(HZ)に収まる必要があります。今回の研究では、2014年のKopparapu氏ら(リンク)による「控えめなHZ 」の定義を用いています。このHZは、主恒星の光度・温度や惑星の質量で変わりますが、太陽―地球と同じ条件では主恒星から0.95〜1.68天文単位(1天文単位=地球と太陽の距離)です。

一方ハビタブル惑星のサイズは、下限を地球半径の0.72倍とし、上限は地球の1.00倍から1.70倍までの5種類を想定しました。それぞれの惑星サイズにおける恒星1個あたりのハビタブル惑星の個数は以下の通りです。

  • 0.72-1.70倍:0.34±0.02
  • 0.72-1.62倍:0.33±0.02
  • 0.72-1.48倍:0.30±0.01
  • 0.72-1.26倍:0.24±0.01
  • 0.72-1.00倍:0.158±0.008

なお研究チームが「控えめなHZ」の代わりにKopparapu氏らによる「楽観的なHZ」の定義を適用したところ、前記のハビタブル惑星の個数はそれぞれ約1.6倍に増えました。

  • 0.72-1.70倍:0.55±0.02
  • 0.72-1.62倍:0.52±0.02
  • 0.72-1.48倍:0.48±0.02
  • 0.72-1.26倍:0.39±0.02
  • 0.72-1.00倍:0.27±0.01

モデルの不確かさ

ケプラーが検出したごく少数のハビタブル惑星から、直接その頻度を導き出すのは困難です。そのため研究チームはいくつかの仮定や外挿を用いて間接的なモデルで惑星の頻度を予測しました。これらの仮定に由来するモデル自体の不確かさは、結果の不確かさに反映されていないことには注意を要します。

宇宙人探しへの波及?

ところで、少なくない惑星系が複数のハビタブル惑星を持つとする今回の研究は、地球外知的生命探査(SETI)にとって「良いニュース」だと研究チームは述べています。

そのような惑星系に文明があれば、惑星間通信が行われているかもしれません。これを観測すれば効率よく地球外知的生命(いわゆる「宇宙人」)を探せるというアイデアがあり、実際に「TRAPPIST-1」系を対象に試みられています。同種の観測に適した惑星系は将来にいくつも見つかるかもしれません。


Zink氏らの研究は、2019年5月3日にarXivに投稿され、6日に公開されました。コメントによると研究は『王立天文学会月報』(MNRAS)に掲載予定ということです。

参考文献

  • Zink, J. K. et al., 2019, “Accounting for Multiplicity in Calculating Eta Earth”, arXiv:1905.01032v1.

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カテゴリ:居住可能性

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