形成中の惑星を円盤が取り囲んでいる証拠が見つかる

生まれて間もない惑星「PDS 70 b」が「周惑星円盤」に取り囲まれていることを示す研究が公表されました。

原始惑星系円盤と周惑星円盤

「PDS 70」は生まれてから数百万年しか経っていない若い恒星で、その周りは「原始惑星系円盤」が取り囲んでいます。円盤には幅の広い溝があり、そこには2018年に惑星「PDS 70 b」が見つかっています。

オーストラリアのモナシュ大学に所属する Valentin Christiaens 氏らが5月15日にarXivに投稿した研究(arXiv:1905.06370)は、この惑星に流れ込む物質が惑星の周りで「周惑星円盤」を成している証拠を発見したことを伝えています。

今回の研究では、これまでに公開されている観測データをまとめて、惑星PDS 70 bの赤外線スぺクトル(波長ごとの赤外線の強さ)を調べ、これを再現できるモデルを探しました。研究には、2019年に今回と同じ著者らが公表したVLT望遠鏡と「SINFONI」補償光学装置の観測データも用いられました。

原始惑星系円盤と周惑星円盤
原始惑星系円盤(右)と周惑星円盤(左)の想像図。

研究チームが特に注目したのが、異なる時期に得られた観測データの間で、波長2.0~2.5マイクロメートルの赤外線の強さが食い違っていることです。これは何らかの原因で赤外線が時間と共に変化していることを示しています。

研究チームが扱ったモデルは、(1) 赤外線は惑星本体のみから放出され強さは変化しない (2) 赤外線は惑星本体のみから放出され、赤外線を遮る塵の量が変化することで赤外線も変化する (3) 赤外線は惑星本体と周惑星円盤の両方から放出され、周惑星円盤から惑星へ降り積もる物質の量が変化することで赤外線が変化する の3種類です。

検証の結果、惑星が周惑星円盤で囲まれているとしたモデルが、他のモデルと比べて良好に観測を再現できることが分かりました。さらにこのモデルは、再現性の高さに加えて、モデル中で予想される周惑星円盤の性質が標準的なモデルに一致するなど、いくつかの肯定的な状況証拠もあります。

今回の研究は様々な時期・波長について集められた断片的なデータに基づいており、赤外線の広い波長を同時期に観測したデータはありません。研究チームは、そのような広波長の同時観測を行えば、周惑星円盤の存在を確認できるだろうとしています。

Christiaens氏らの研究は2019年5月15日にarXivに投稿され、17日に公開されました。コメントによると研究は『アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ』に掲載予定ということです。

参考文献

  • Christiaens, V. et al., 2019, “Evidence for a circumplanetary disc around protoplanet PDS 70 b”, arXiv:1905.06370v1.

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