謎の小天体オウムアムアの平均密度は0.00001グラム/立方cm?その起源とは

太陽系外から飛来した小天体「オウムアムア」には、重力によらない謎の加速が生じています。仮にオウムアムアが超低密度ならばこの加速は太陽光圧で説明できますが、そのような天体が自然に生じ得るのでしょうか?この疑問に答えた研究が公表されました。


2017年に発見された「オウムアムア」は太陽系外から飛来した小天体です。オウムアムアは現在太陽系から飛び去りつつあり、その運動には重力以外の要因で加速度が生じています。

このような加速度は、彗星ではガスの放出に伴ってよく見られる現象で、当初はオウムアムアも彗星のようにガスを放出していると考えられていました。しかしスピッツァー宇宙望遠鏡の観測ではガスが全く検出されなかったことから、この説はに否定的な見方が強まっています。

空気より軽い?

アメリカの宇宙望遠鏡科学研究所に所属するAmaya Moro-Martin氏の研究は、この謎の加速度について調べたものです。

オウムアムアの加速度を説明する別のメカニズムとして、太陽光圧による加速が考えられています。

この圧力は微弱なため、観測された加速度を説明するには、オウムアムアはその質量に対して非常に広い面積で太陽光を受け止めている必要があります。これはオウムアムアが薄い膜のような形をしているか、あるいは平均密度が非常に低いことを意味します。

Moro-Martin氏が後者のシナリオに着目して計算したところ、オウムアムアは 10-5 g/cm3(=0.00001 g/cm3, 0.01 kg/m3)という平均密度を持たなければならないことが分かりました。これは地球の地表における大気の密度1.3 kg/m3と比べても100分の1という極めて低いものです。

ほぼ100%が隙間

問題はこのような天体が実在しうるかです。天体の密度は必ずしも物質そのものの密度を反映せず、例えばスポンジのような内部に隙間の多い(多孔質の)物体では平均密度は極めて小さくなります。

Moro-Martin氏によると、このような低密度の天体が存在しうることは、すでにこれまでの研究で示されているということです。

生まれたばかりの恒星の周囲には「原始惑星系円盤」と呼ばれるガスとダストの混じった円盤があり、この中でダストが成長して惑星になります。

最初期のダストの成長はガスに浮かんだダスト同士が低速で衝突し繋がることで進みます。実験や数値シミュレーションでは、ダストの集合体は最初のうちは内部に大きな隙間を残したまま「フラクタル集合体」のような形で成長するため、天体内に占める隙間の割合は増加を続け、平均密度は下がり続けることが示されています。

集合体が十分に成長すると次第に自己の重力などで内部の隙間は潰れていきます。太陽系の小天体でも多孔質の天体は多く見つかっていますが、オウムアムアほど極端なものは存在せず、このような隙間が潰れるプロセスが既に進んだものと考えられます。

一方でオウムアムアは早い段階で成長をやめ、恒星間へ放り出されたと考えれば、密度の低さを説明できます。

ただし、Moro-Martin氏は、この考え方にはいくつか不確定な要素が残っていることを述べています。例えば、ダストの成長はまだ完全には解明されておらず、低密度の脆い集合体が惑星系からの放出や恒星間の長旅を生き残れるかも未知数です。

また、別の見方として、オウムアムアは彗星のような天体として太陽系に進入した後、太陽に近づいた際に崩壊してダストの集合体となったという研究もあります。

仮にオウムアムアが成長途中で放り出された超多孔質の天体であれば、太陽系内に発見されていない新しいカテゴリーの天体ということになります。このような恒星間天体は、太陽系外の惑星系の状況を伝えるだけでなく、太陽系を含めた惑星系全般の最初期の状況を知る重要な手掛かりとなるかもしれません。

関連記事:オウムアムアは彗星の残骸?

Moro-Martin氏の研究は2019年2月11日にarXivに投稿され、13日に公開されました。arXiv投稿に際するコメントによると、研究は『アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ』に受理され、レターとして掲載予定とのことです。

(2月25日追記)研究は22日に『アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ』に掲載されました。

参考文献

  • Moro-Martin, A., 2019, “Could 1I/’Oumuamua be an Icy Fractal Aggregate Ejected from a Protoplanetary Disk? A Fluffy Radiation-pressure-driven Scenario”, ApJL 872, L32. (arXiv:1902.04100v1)

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カテゴリ:オウムアムア

更新履歴

  • 2019/4/9
  • 2019/5/19 – 関連記事の表示を変更

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