大気の観測に最適な地球サイズの系外惑星が見つかる

グリーゼ357系の日射量とサイズ。

系外惑星観測衛星TESSなどの観測で太陽系近傍の恒星「グリーゼ357」(別名TOI-562)に2つの惑星が見つかりました。

この発見は、カナリア天体物理研究所に所属する R. Luque 氏らがarXivに投稿したプレプリント(arXiv:1904.12818)で伝えられました。


TESSは惑星恒星の手前を横切る「トランジット」を観測するトランジット法で惑星を探しています。グリーゼ357にはこの方法で惑星候補が1つ見つかりました。

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研究チームはこの惑星を確かめるために、地上の望遠鏡を用いて行われた過去の観測記録を分析しました。その結果、このTESSの発見に対応した惑星に加え、別の惑星が外側の軌道に存在することが分かりました。

グリーゼ357系は太陽系から30.8光年の位置にあり、トランジット法で惑星が検出された系としては、2015年に発見されたHD 219134系に次いで、二番目に太陽系から近い位置にあります。

惑星系

惑星系の主恒星「グリーゼ357」は太陽の約3分の1のサイズしかない赤色矮星ですが、赤色矮星の中では太陽系から見て明るい天体の1つです。

グリーゼ357系の日射量とサイズ。
グリーゼ357系(上)の日射量とサイズ。サイズの不明なグリーゼ357cは地球の1.7倍と仮定し、点線で示している。

内側の惑星「グリーゼ357b」は地球の1.2倍のサイズ(半径)と1.6倍の質量を持ち、半径0.034天文単位(=地球と太陽の距離の0.034倍)の軌道を3.93日で一周します。

惑星bが受ける日射は、地球が太陽から受ける日射の13倍に達します。平均密度は6.0 (+1.5/-1.2) g/cm3で、地球に似た組成を持つ岩石惑星(地球型惑星)と考えられています。

外側の惑星「グリーゼ357c」は地球の3.9倍以上の質量を持ち、半径0.085天文単位の軌道を9.13日で一周します。サイズや密度はトランジット法で観測されていないため不明です。

惑星cは地球の2.1倍の日射を受けています。これは金星とほぼ同じ値で、ハビタブルゾーン(惑星表面に海が存在可能な軌道の範囲)にぎりぎり入っているかもしれません。

今後の観測

グリーゼ357は観測に適した明るい赤色矮星です。トランジットを詳しく観測すれば惑星の大気が分かるため、特に内側の惑星グリーゼ357bは大きな意味を持ちます。

サイズの小さいグリーゼ357bの大気を調べるのは現在は困難ですが、研究チームによると、JWST宇宙望遠鏡や20~30メートル級の超巨大望遠鏡などの次世代の望遠鏡が完成すれば、地球型惑星の大気を研究する上で理想的なターゲットとなり得るとしています。

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Luque氏らの研究は2019年4月29日にarXivに投稿され、30日に公開されました。

研究に用いられた施設(過去データの利用含む)

  • TESS(測光、人工衛星)
  • ASAS(測光、変光星サーベイ)
  • NSVS(測光、変光星サーベイ)
  • ASAS-SN(測光、超新星サーベイ)
  • WASP-South(測光、系外惑星サーベイ)
  • カルロス・サンチェス望遠鏡(高解像度撮像、カナリア諸島テイデ天文台)
  • すばる望遠鏡/IRD(高解像度撮像、ハワイ州マウナケア天文台群)
  • ケックI望遠鏡/HIRES(高分解能分光、ハワイ州マウナケア天文台群)
  • VLT望遠鏡/UVES(高分解能分光、チリ・パラナル天文台)
  • ESO 3.6m望遠鏡/HARPS(高分解能分光、チリ・ラ・シヤ天文台)
  • カラルアルト3.5m望遠鏡/CARMENES(高分解能分光、スペイン・カラルアルト天文台)

参考文献

  • Luque, R. et al., 2019, “A planetary system around the nearby M dwarf Gl 357 including a transiting hot Earth-sized planet optimal for atmospheric charactarisation”, arXiv:1904.12818v1.

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