重力の弱い海洋惑星の居住可能性

重力が弱く大気が活発に流出する惑星でも、生物が生息可能な環境を一定期間保てることが分かりました。

深い海に覆われた惑星を「海洋惑星」といいます。これらの惑星には、地球のような水が質量に占める割合が0.1%に過ぎない星とは異なり、質量の1~数パーセント以上の水(氷を含む)が含まれています。

ハーバード大学に所属する Constantin W. Arnsheidt氏らの研究チームが6月25日にarXivに投稿した研究は、質量の小さい海洋惑星の居住可能性(=生物が生息できるかどうか)について調べたものです。

これまで海洋惑星の研究は地球と同等かそれ以上の質量を持つものを中心に行われてきました。質量が小さく重力の弱い惑星では、大気が容易に流出してしまいます。しかし組成として水(氷を含む)を大量に含んでいれば、流出した大気は惑星本体から補充されるため、生命が進化するのに十分な期間に渡って大気と海を保てるかもしれません。

研究では、質量が地球の約10分の1以下で、質量の40%が水(氷を含む)で構成され、純粋な水蒸気の大気をもつ惑星が想定されました。これに放射熱伝達と大気流出のモデルを組み合わせることで惑星が長期間居住可能性を保てるかどうかを調べました。

※太陽系では、木星や土星の氷衛星(ガニメデ・カリスト・タイタンなど)が、今回の想定に最も近い天体と言えます。

結果

水蒸気には温室効果があります。気温が上がって水蒸気が増えればさらなる温度はさらに上がります。地球サイズの惑星では、日射がある限界を超えるとこのような「暴走温室効果」が起きます。そのときの日射の条件がハビタブルゾーン(恒星の周りで居住可能な環境を保てる軌道の範囲)の内側境界を決めます。

一方で、今回研究された重力の弱い惑星では事情が異なります。このような惑星では、温度上昇に伴って大気圏が膨張し、熱を効率よく放射できるようになります。そのため日射が強い条件(≒惑星の軌道が小さい条件)でも暴走温室効果は起きないことが分かりました。

その代わりに、水の流出がハビタブルゾーンの内側境界を決めることになります。水蒸気は日射が強く温度が高い環境で活発に流出するため、恒星に近い軌道を持つ惑星ほど居住可能性を保てる期間(=惑星が水を全て喪失するまでの猶予期間)は短くなります。期間が短すぎると生物は十分に進化できず、観測の面では、そのような状態にある星を見つけられる機会が少なくなります。

ハビタブルゾーンの範囲

重力が弱い海洋惑星の具体的なハビタブルゾーンはどの程度のものなのでしょうか?

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