謎の変光星 HD 139139

ケプラー宇宙望遠鏡の観測で恒星「HD 139139」(EPIC 249706694)に見つかった変光は、惑星のトランジットに似ていますが、周期性の無い奇妙なものです。

HD 139139の減光。

2009年に打ち上げられたNASAの「ケプラー」宇宙望遠鏡は、主要ミッション(2009~2013年)と延長ミッション(K2ミッション, 2014~2018年)で数千個の惑星と惑星候補を発見しました。惑星だけでなく変光星の研究にもそのデータは用いられています。

マサチューセッツ工科大学に所属する S. Rappaport 氏らのグループが6月26日にarXivに投稿したプレプリント(arXiv:1906.11268)では、K2ミッションのデータから奇妙な変光星を見つけたことが伝えられています。「HD 139139」(別名 EPIC 249706694)と呼ばれるこの天体は太陽系から351光年先にある連星系です。

ランダムな変光

HD 139139 に見られる変光のパターンは、光度が一時的に低下してすぐ元に戻るというもので、87日間の観測期間に28回減光していました。個々の減光を見ると惑星が恒星の手前を横切る「トランジット」に似ていますが、周期性が無い点で奇妙です。惑星のトランジットであれば惑星の公転に同期した周期的な減光が生じるはずです。

HD 139139の減光
HD 139139の減光。横軸が発生時間、縦軸が減光率を表す(Rappapotr et al. 2019)。

減光率は平均すると約200ppm(=1万分の2)で、約1.5地球半径の惑星がトランジットを起こしていることに相当します。減光の継続時間も短周期のトランジット惑星で想定される範囲です。ただし減光率や継続時間は、観測の誤差だけでは説明できないばらつき(それぞれ67~408ppm, 0.74~8.19時間)があります。

HD 139139の減光。
HD 139139の減光。横軸が継続時間、縦軸が減光率を表す(Rappapotr et al. 2019)。

個々の減光は、短時間(30分以内)で減光した後、概ね一定の減光率を維持し、短時間で平常光度に戻るというU字型のパターンを示していました。減光・復光の間での非対称性も見られませんでした。これらは惑星のトランジットに典型的な特徴です。

減光の発生に周期性が見つかっていないのは最も奇妙な点です。研究グループは、データセットを統計的に分析して周期性を抜き出そうとしましたが、何も見つかりませんでした。複数の周期的な減光の系列が混ざっている状況でもありませんでした。

伴星の影響

前述のようにHD 139139は連星系で、恒星の伴星HD 139139 B(以下伴星B)が存在します。ケプラーは主星と伴星Bの光を混合した状態で記録していたため、主星ではなく伴星Bが変光している可能性も排除できませんでした。

仮に伴星が変光していれば、主星の光が伴星の減光率を「希釈」します。そのため実際の減光率は観測された減光率より大きくなければなりません。この仮定では、観測された減光率は伴星Bの周りにある木星サイズのトランジット惑星に相当します。

はなお「周期性の欠如」という最大の謎について言えば、変光の原因がどちらの星であれそれ自体は説明にはなりません。

説明

研究グループはHD 139139の変光を説明するために様々なシナリオを検証しました。

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