星の密集する銀河中心をターゲットにした「ケプラー」宇宙望遠鏡の観測で、トランジット惑星の候補が見つかりました。
ケプラーの延長ミッションに当たる「K2ミッション」は、トランジット法で惑星を検出する目的で行われました。ただし「キャンペーン9」 (C9) と呼ばれる期間は例外です。この期間中ケプラーはマイクロレンズ法に有利となるように、恒星が密集した銀河系の中心部「銀河バルジ」を観測しました。
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このような混雑したフィールドでは、トランジット法は誤検知の可能性が高く不利になります。そのため、C9のデータはこれまでトランジット法で分析されていませんでした。
惑星候補の発見
米ベイエリア環境研究所に所属する C. Hedges氏らは、C9のデータからトランジット惑星を探す研究を行い、その成果を『Resarch Notes of the AAS』で発表しました。
研究チームは、「2MASS J17595014-2739369」と呼ばれる恒星に新たに惑星候補を見つけました。この惑星候補は半径が木星の1.3倍で、公転周期2.19日周期のホットジュピターと見られています。主恒星は太陽の1.6倍の半径を持ちます。
惑星候補は誤検知の可能性を排除するためのいくつかの条件をパスしましたが、食連星である可能性を完全には排除できなかったため、現時点では「候補」の状態です。
今回用いられた分析方法はK2の他のキャンペーンやTESS衛星でも使われている一般的なものです。そのような方法でも、込み入ったフィールドのトランジット惑星を検出できることが分かりました。
研究チームは今回、惑星候補を検出できることを実証するために、C9のデータの一部を調べたに過ぎないということです。C9のデータをトランジット法で詳しく調べれば、よい多くの有益な情報が得られるかもしれません。
Hedges氏らの研究は、2019年1月22日に『Reserch Notes of The AAS』の掲載記事としてオンラインで公開されました。RNAASはアメリカ天文学協会が発行する査読制をとらない学術誌です。
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参考文献
- Hedges, C. et al., 2019, “A Transiting Hot Jupiter Candidates toward the Galactic Center Identified in the Kepler/K2 Campaign 9 Microlensing Survey”, RNAAS 3, 18.
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カテゴリ:K2
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更新履歴
- 2019/01/29 – 作成
- 2019/05/18 – 全面改稿