遠い昔に惑星系から放り出された恒星間天体は惑星の中に眠っているかもしれない

恒星間空間には過去に惑星系から放り出された小天体が多く漂っています。このような天体が惑星系の形成に取り込まれることで、その過程に大きな影響を与えうるとする説が新たに公表されました。

遍在する恒星間天体

独ユーリッヒ研究センターの Susanne Pfalzner氏と、英クイーンズ大学ベルファストの Michele T. Bannister 氏が共著でarXivに投稿した研究は、「恒星間天体」が惑星形成に与える影響について考察したものです。

恒星間天体とは恒星間空間にある天体のことです。2017年に発見された「オウムアムア」は小さな恒星間天体の一例です。このような天体は銀河系内に遍在していると見られています。

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恒星間空間は過去にどこかの惑星系から放出された天体の姿です。大規模な放出が起きるのは、惑星系が形成される時、恒星が寿命を迎え質量を失う時の2つのタイミングです。

これまでの研究によると、太陽系近傍では、100m以上のサイズをもつ恒星間天体は体積1立方パーセク(35立方光年)当たり1015個(1000兆個)の密度で分布すると示されています。

惑星形成への取り込み

新しい恒星が形成されるとき、恒星間天体の一部は材料として取り込まれます。従来の惑星形成モデルではこのことは注目されていませんでした。

恒星は星間物質(恒星間に漂うガスやダスト)が収縮して生まれます。恒星本体に取り込まれなかった物質は恒星の周囲で「原始惑星系円盤」となり、その中で惑星が形成されます。

研究チームの見積もりによると、1つの恒星が生まれる過程で、少なくとも1011個(1000億個)の恒星間天体が収縮に巻き込まれ、そのうち原始惑星系円盤には107個(1000万個)が残るとされています。

これらの数字は一連のプロセスの不確かさを考慮して控えめに見積もった数字で、実際の数はこれより何桁も多いかもしれません。

惑星形成への影響

惑星の中で眠る恒星間天体の想像図

一般的な惑星形成論は、マイクロメートルサイズのダストを初期条件と想定しています。

惑星形成論として支持されている「ペブル集積」という理論では、原始惑星が数百キロメートルサイズに成長できれば以降は急速に成長できるとされます。しかしダストの成長はこのサイズに達するはるか手前で停滞します。停滞を乗り越えるメカニズムは存在しますが、それが常に働くとは限りません。

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仮に惑星形成の初期条件がダストではなく「ダストと恒星間天体」であれば、最初から「足場」が存在するため、惑星の成長が促進されると考えられます。

このメカニズムはまた興味深い観点を示しています。恒星間天体は過去に惑星系から放出された天体です。そのため宇宙最初期の惑星系は恒星間天体に影響されず、惑星形成は不活発だったことになります。また現在の宇宙でも、恒星間天体の密度は場所によって違いがあり、異なる環境では異なる種類の惑星系が形成されるかもしれません。


今回の研究はメカニズムの大枠を示したもので、具体的にどれだけの影響があるかはこれからの検討課題です。この研究は、従来惑星形成論で見落とされていた恒星間天体を考慮する必要を示しています。

Pfalzner氏とBannister氏の研究は2019年3月11日にarXivに投稿され、12日に公開されました。

参考文献

Pfalzner, S. & Bannister, M. T., 2019, “A hypothesis for the rapid formation of planets”, arXiv:1903.04451v1.

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