木星のような星が見つかる

既に系外惑星が知られている惑星系を再分析した研究で、新たに木星に似た惑星が見つかりました。

系外惑星の主な観測法として視線速度法 (RV法) があります。

これは、惑星の公転に伴い恒星が揺れ動くことで、恒星の視線速度(RV, 奥行き方向の速度)が周期的に変動することを用いたものです。

「見える」と「見分ける」の問題

RV法では、惑星の存在が分かったとしても、それが1つの「楕円軌道」の惑星なのか、「複数」の惑星なのか分からないことがあります。

惑星が真円軌道を持つとき、RVは正弦曲線に沿って変動しますが、惑星が潰れた楕円軌道を持つほど、RVの変動は正弦曲線と異なったものになります。

一方で、複数の惑星が存在している場合、変動の波が重なり合うことでやはり正弦曲線から外れたパターンになります。

時として、両者を見分けるのは困難を伴うことになります。

再分析

豪サザンクイーンズランド大学のR. A. Wittenmyer氏らがarXivで公表した研究は、2013年に同氏らが発表した先行研究を踏まえたものです。

2013年の研究は、当時知られていた「楕円軌道の惑星」の中から「複数の惑星」と解釈できるものを探し求めました。その結果「複数の惑星を持つ可能性がある」とされた8つの惑星系が今回ターゲットに選ばれました。

分析に当たっては、アングロオーストラリアン望遠鏡で新たに得られたデータや、2013年以降に公表された各プロジェクトによるRV法の観測データを織り込むとともに、分析方法も新しいものを採り入れました。

再分析は、2013年の研究が導き出した予想に対して否定的なものとなりました。

2013年の研究では「2つの惑星」解釈を前提に惑星の軌道を予想していましたが、予想通りの形(あるいはそれに近い形)で2つの惑星が確認されたものは1つもありませんでした。

一方で今回、いくつかの長周期の惑星の存在が新たに示唆されました。特に「HD 652161」系では、新たに木星に似た惑星が確認されました。

新発見の惑星

「HD 65216」は太陽の87%の質量を持つ太陽に似た星です。当初、この星の周りには楕円軌道の惑星が1つ存在するとされていました。2013年の研究では公転周期152日と572日の2つの惑星が存在すると主張されました。

再分析で152日周期の惑星は否定され、代わりに外側に別の惑星の存在を示す視線速度 (RV) の長期変動が見つかりました。

14.8年に及ぶこの変動の周期は、典型的な恒星の活動サイクル(11年の太陽活動サイクルに相当)の範囲にあります。しかし活動サイクルに伴う変動としては振れ幅が大きすぎることと、恒星の活動性指標とRVとの間に相関関係が見られないことから、惑星に由来することが分かりました。

新たに見つかった惑星「HD 65216 c」は、木星の2倍の質量を持ち、質量や公転周期の面で木星に似た惑星とみなされています。 ただし惑星系全体としては、惑星cの内側にもう一つの惑星「HD 65216 b」があるため、太陽系とは異なる構成になっています。

HD 65216 c と木星(括弧内)

  • 公転周期 5370±20日 (4332日)
  • 離心率 0.17±0.04 (0.05)
  • 質量 木星の2.03±0.11倍以上

その他の例

以下では今回ターゲットとなった他の7つの惑星系について述べます。

HD 85390

「HD 85390」は発見当初より楕円軌道の惑星と周期不明の長期変動を持つとされていました。2013年の研究は、長期変動は公転周期10年の惑星に由来するかもしれないとしました。しかし、今回の研究で、変動は18.3年周期の恒星活動サイクルに由来すると確かめられました。

HD 7449・HD 89744・HD 92788

この3つの系は、2013年の研究で「2つの惑星」の可能性が示されましたが、今回の再分析で「楕円軌道」が妥当なことが分かりました。

また、3つの惑星系には新たにRVの長期変動が見つかりました。これは既知の惑星の外側に別の天体がある可能性を示します。ただしその正体を突き止めるには現時点で観測が不足しています。

HD 117618

HD 117618は、長期変動が見つからなかったことを除くと、上記3つの系と同じ経緯を辿っています。

HD 3651・HD 52265

この2つの系は2013年の研究で「楕円軌道」とも「2つの惑星」とも捉えられることが分かっていました。今回の再分析で状況は動かず、双方の解釈が可能な状態のままです。

今回の再分析は、全体的に2013年の解釈を否定する結果となりました。

一方で、楕円軌道の惑星を持つ惑星系では、別の惑星が外側に存在することを示唆する長期変動が高い頻度で見つかるという、副産物が得られました。これは、「惑星同士の相互作用で楕円軌道の惑星が形成される」というモデルを裏付ける興味深い結果です。

また、Wittenmyer氏らはこの研究に関連する論文を同時に公開しています。そこでは楕円軌道と2つの惑星の判別がどのような条件で困難になるのかが、理論面から述べられています。

Wittenmyer氏らの研究は2019年1月24日にプレプリントとしてarXivに投稿されました。arXivへの投稿に付随する著者のコメントによると、論文は『王立天文学会月報』(MNRAS)に受理され、掲載予定とのことです。

参考文献

Wittenmyer, R. A. et al., 2019, “Truly eccentric. I. Revisiting eight single-eccentric planetary systems”, arXiv:1901.08471.

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