人工知能がK2のデータから2つの惑星を発見

ケプラー宇宙望遠鏡の延長ミッションにあたる「K2ミッション」の観測データから、人工知能を用いて新たに2つの惑星「K2-293b」と「K2-294b」が発見されました。

※この研究の内容のうち惑星発見以外の部分については別記事に書いています


発見はテキサス大学オースチン校に所属する Anne Dattilo 氏らがarXivに投稿したプレプリントで報告されました(リンク)。この研究は、人工知能(ニューラルネットワーク)を用いてK2ミッションの観測データを分析したものです。

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見つかった惑星はそれぞれ別の恒星の周りを公転しています。K2ミッションで発見された他の惑星と同様に、いずれも地球の数倍以下のサイズを持つ短周期の惑星です。

惑星「K2-293b」は地球の2.5倍のサイズ(半径)を持った惑星で、太陽に似た恒星「K2-293」の周囲を13.1日周期で公転しています。

惑星「K2-294b」は地球の1.7倍のサイズ(半径)を持った惑星で、太陽に似た恒星「K2-294」の周囲を2.5日周期で公転しています。

2つの惑星の質量や平均密度は明らかではありませんが、K2-293bはガスの外層を持った低密度の惑星、K2-294bは岩石惑星と見られます。

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発見と確認の経緯

この2つの惑星系は、ニューラルネットワークを用いてK2ミッションの惑星候補を分類する研究の応用として見かったものです。

2014年から2018年に行われたK2ミッションは、トランジット法による惑星の検出を行うために恒星の変光を記録しました。

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研究グループはまず、K2のデータから惑星の可能性がある変光(TCE)を抜き出してデータセットを作成し、人工知能の学習と性能の評価に用いました。このとき1つの恒星に複数のTCEが見つかった場合、最初のTCEをデータセットに採り入れ、2つ目以降は無視しました。

人工知能の学習と評価を終えた後、研究チームは未使用だった2つ目以降のTCEを集めて第二のデータセット(22,050個のTCE)を作成しました。

この新しいデータセットを人工知能に調べさせたところ、826個のTCEが惑星の可能性ありと判定されました。今回惑星が確認された2つの恒星は、この中で特に有望かつフォローアップ観測が容易という条件で選ばれたものです。

K2の記録

2つの恒星は2016年12月から2017年3月にかけて行われた「キャンペーン12」 (C12) と呼ばれる観測期間にケプラーの視野に入りました。

C12は期間中に観測視野内を火星が横切るという特異な状況でした。K2-293と294で最初に記録されたTCEは火星の影響を受けた明らかな誤検知で、その後に起きた惑星によるTCEは見過ごされていました。

フォローアップ観測

2つの惑星候補のフォローアップ観測は、アリゾナ州にあるティリンガースト反射鏡(口径1.5m)の「TRES」分光器や、ハワイ州にあるジェミニN望遠鏡の「アロペケ」スペックル撮像装置を使って行われました。また欧州宇宙機関の「ガイア」衛星の既存のデータも用いられました。

K2のデータとフォローアップ観測を組み合わせて分析したところ、2つの惑星候補が誤検知である可能性は統計的に見ていずれも0.1%以下と計算されたことから、惑星を確認 (validate) したと結論付けられました。


人工知能を用いた惑星の分析は、精度の不十分さや未知の現象を発見できない問題が示されています(詳細記事)。しかし今回のような用途では十分に役に立つことが実証されました。

研究チームは、現在運用中のTESSのデータを今回に似た方法で分析すれば、検出から逃れた価値のある惑星候補を見つけ出すことができるかもしれないとしています。

Dattilo氏らの研究は2019年3月25日にarXivに投稿され、日に公開されました。コメントによると研究は『アストロノミカル・ジャーナル』に受理され掲載予定ということです。

参考文献

  • Dattilo, A. et al., 2019, “Identifying Exoplanets with Deep Learning II: Two New Super-Earths Uncovered by a Neural Network in K2 Data”, arXiv:1903.10507v1.

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