2つの観測プロジェクトがホットジュピターを発見

「KELT」「MASCARA」の2つのプロジェクトが比較的明るい恒星の周りに大質量のホットジュピターを発見しました。

太陽・HD 93148とその惑星のサイズ比較。

米ハーバード・スミソニアン天体物理学センターに所属する Josef E. Rodriguez 氏らのグループと、デンマークのオーフス大学に所属するM. Hjorth氏らのグループがそれぞれarXivに投稿した研究(arXiv:1906.03276, arXiv:1906.05254)は、比較的明るい恒星の周りに新たにホットジュピター(高温の木星型惑星)を見つけたことを伝えています。

Rodriguez氏らのグループが6月7日に投稿したプレプリントは、「KELT」プロジェクトの成果を伝えるものです。KELTは、南北それぞれの半球に設置された小型の自動望遠鏡を用いて、明るい恒星の周りにトランジット法で惑星を探しています。KELTが検知した惑星候補は、「KELT-FUN」と呼ばれるフォローアップ観測ネットワークで有望さが確かめられた後、中・大型の望遠鏡で確認が行われます。

一方Hjorth氏らのグループが6月12日に投稿したプレプリントは、「MASCARA」プロジェクトが同じ天体を独立して発見し、フォローアップ観測を行っていたことを伝えています。MASCARAは明るい恒星の周りにトランジット惑星を探すプロジェクトで、KELTと同様の目的を持ちます。MASCARAでは複数の広角カメラを束ねた専用の観測装置を南北の半球に設置しています。

惑星系

新たに見つかった惑星は、「HD 93148」(別名:KELT-24・MASCARA-3)と呼ばれる8等級の恒星の周りを公転するものです。HD 93148は太陽より高温の恒星で、太陽の1.3~1.5倍の質量と1.5倍の半径があります。KELTのチームはこの恒星は年齢約8億年の若い星と推定している一方、MASCARAは約30億年と見積もっています。

太陽・HD 93148とその惑星のサイズ比較。
太陽(左)・HD 93148(右)とその惑星(黒い影)のサイズ比較。

惑星の「KELT-24b」または「MASCARA-3b」は、主恒星の周りを5.6日周期で公転するホットジュピター(高温の木星型惑星)です。質量はホットジュピターとしては比較的大きく、KELTは木星の5.2倍、MASCARAは4.2倍と計算しています。

それぞれのグループが行った「ドップラートモグラフィー法」(DT法)の観測によると、KELT-24b/MASCARA-3bの軌道面は、恒星の赤道面とほぼ一致しています。HD 93148のような高温の恒星では、恒星の赤道面から逸れた軌道面を持つ惑星が多く知られていますが、この惑星系では惑星の軌道を傾けるような現象が過去に起きなかったことを示しています。

DT法の説明:ドップラートモグラフィーとは?

HD 93148系は、主星が明るいため惑星大気の観測に適しています。特に、今回のような比較的大きな質量を持つホットジュピターは数が少ないため、観測ターゲットとして興味深い存在です。またこの惑星系は2020年に系外惑星観測衛星「TESS」の視野に入り、詳しく観測される見込みです。


Rodriguze氏らの研究は2019年6月7日にarXivに投稿され、11日に公開されました。またHjorth氏らの研究は6月12日にarXivに投稿され、13日に公開されました。

参考文献

  • Rodriguez, J. E. et al., 2019, “KELT-24b: A 5 MK Planet on a 5.6 day Well-Aligned Orbit around Young V=8.3 F-star HD 93148″, arXiv:1906.03276v1.
  • Hjorth, M. et al., 2019, “MASCARA-3b: A hot Jupiter transiting a bright F7 star in an aligned orbit”>, arXiv:1906.05254v1.

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カテゴリ:系外惑星の発見

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