ケプラー410Abの見えない隣人

ケプラー宇宙望遠鏡が発見した太陽系外惑星「ケプラー410Ab」には、トランジット時刻変動 (TTV) という現象が見つかっています。

従来、このTTVは「ケプラー410Ab」の主星に未発見の恒星の伴星が存在することを示しているのではないかという説がありましたが、観測によって否定されました。

「ケプラー410Ab」は、NASAのケプラー宇宙望遠鏡が見つけ出した惑星の一つです。

この星は海王星に似た大きさを持ち、17.83日周期で太陽の1.35倍の大きさを持つ恒星「ケプラー410A」の周りを公転しています。ケプラー410Aは、惑星とは別に恒星の伴星「ケプラー410B」を持ちますが、これは遠い距離にあるため惑星に影響を与えません。

ケプラー410Abは地球から見て主恒星の手前を横切る軌道を持ち、周期的に恒星の光を隠しています。このような現象はトランジットと呼ばれます。

通常、トランジットの間隔は一定となりますが、ケプラー410Abでは960日周期で14.5分変動することが分かっています。これは「トランジット時刻変動 (TTV)」という現象で、惑星の軌道に影響を与える未発見の天体が潜んでいることを示します。

今回、ケプラー410AbのTTVに関する研究が、スロバキアのパヴェル・ヨゼフ・シャファーリク大学に所属するP. Gajdos氏らによってarXivで公表されました。

Gajdos氏らは、2017年に「ケプラー410AbのTTVは恒星の伴星(前述のケプラー410Bとは別物)によって引き起こされている」とする仮説を立てており、今回の研究はこの説について検証しています。

Gajdos氏らは、仮に恒星の伴星が存在すれば、主星のケプラー410Aに視線速度(奥行き方向の速度)の周期的な変動が起きているはずだと考えました。そこで研究チームはスロバキアとチェコにある3台の望遠鏡で、3シーズンに渡ってケプラー410Aを観測し、視線速度を60回計測しました。

その結果、伴星の存在を示す視線速度の変化は見つかりませんでした。このことから、恒星の伴星はケプラー410B以外に存在しないか、仮に存在するにしても惑星「ケプラー410Ab」にTTVを引き起こせない距離にあることが分かりました。

研究チームは、他の説明として、質量の小さい惑星がTTVの原因となっている可能性を検証しました。その結果ケプラー410Abの軌道の外側に火星質量程度の惑星があれば、観測されたTTVを十分に引き起こせることが分かりました。

このような小さな惑星は現在の技術では観測できませんが、欧州宇宙機関が開発を進める宇宙望遠鏡「PLATO」や「CHEOPS」であれば観測できるかもしれません。

Gajdos氏らの研究は2019年1月23日にプレプリントとしてarXivに投稿されました。arXivへの投稿に付随する著者のコメントによると、論文は『王立天文学会月報』(MNRAS)に受理され、掲載予定とのことです。

参考文献

Gajdos, P. et al., 2019, “Transit timing variations, radial velocities and long-term dynamical stability of the system Kepler-410”, arXiv:1901.08485.

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