TTV法で見つかった惑星ケプラー82f

4つの惑星が知られているケプラー82系に新たに地球の21倍の質量を持つ惑星が見つかりました。

TTVのイメージ

ドイツのゲオルク・アウグスト大学ゲッティンゲンに所属する J. Freudenthal 氏らの国際グループがarXivに投稿した研究(arXiv:1907.06534)は、NASAの「ケプラー」宇宙望遠鏡の観測で既に4つの系外惑星が見つかっている「ケプラー82系」に、第5の惑星を発見したことを伝えています。

ケプラーの主要ミッション(2009~2013年)は、惑星が恒星の手前を横切る「トランジット」を観測しました。複数の惑星を持つ系では、軌道の変化に伴いトランジットの発生時刻が等間隔でなくなる「トランジット時刻変動 (TTV)」が見られることがあります。

TTVのイメージ
TTVのイメージ画像。トランジットに伴う減光(緑色)が起きる時刻が等間隔とならずに変動する。

ケプラー82系では、公転周期の比がおよそ1:2になっている外側の2つの惑星(ケプラー82bとc)で大きいTTVが見つかっています。このTTVには、既知の4つの惑星だけでは説明のつかない小刻みな変動が起きていますが、詳しい研究はなされていませんでした。

今回研究グループは、ケプラー主要ミッション後に複数の地上望遠鏡をでフォローアップ観測を続けている「KOINet」の結果を取り入れ、ケプラー82系を詳しく調べました。

ケプラーのデータ

研究チームはほとんどTTVに影響しない内側の2つの惑星(惑星dとe)を無視した上で、外側の2つの惑星(bとc)のさらに外側に別の惑星(ケプラー82f)が存在すると疑いました。これを検証するため惑星b:c:fの公転周期を約「1:2:3」としたモデル・約「1:2:6」としたモデル・さらに比較として「惑星fが存在しない」モデルの3つを想定しました。

それぞれのモデルの中で、最も観測の再現性が高い状況を重力多体シミュレーションを用いて探した結果、「惑星fが存在しない」モデルは観測をうまく再現できませんでした。残りの2つのモデルはどちらも観測に矛盾しませんが、「1:2:3」モデルの方がやや有利でした。

KOINetのデータ

次に研究グループは、ケプラーのデータから予想されたモデルがKOINetの観測を再現できるか調べました。KOINetは2014年から2018年に惑星bやcのトランジットの観測を11回試み、うち9回で有用なデータを得ました。そのうち3回ではトランジットの観測に成功し、「空振り」に終わった残りの8回も発生時刻を絞り込むことに用いられました。

モデルの予想とKOINetの観測を比べた頃、「1:2:3」モデルはKOINetの観測データと矛盾しませんでした。一方で、他のモデルは、起きるはずのない時間にトランジットが観測されるか、その逆が起きていました。

惑星系

新たに発見された惑星「ケプラー82f」は、主恒星の周りを75.73日周期で公転しています。これは惑星cと公転周期が約2:3の比になっています。惑星の質量は地球の約21倍ですが、トランジットを起こしていないため半径や密度は不明です。

惑星fの発見は惑星b・cの質量の推定値にも大きな影響を与えます。惑星fが存在しないモデルで、TTV法に基づいて質量を求めると、惑星b・cがそれぞれ地球の207倍と32倍という結果になりました。これは惑星fを含んだモデルで求められる値(それぞれ12・14倍)とかけ離れたものです。

今回の結果は、TTV法で既知のトランジット惑星の質量を調べる際に、未発見の惑星を考慮に入れる必要を示しています。


Freudenthal氏らの研究は2019年7月15日にarXivに投稿され、16日に公開されました。

参考文献

  • Freudenthal, J. et al., 2019, “Kepler Object of Interest Network III. Kepler-82f: A new non-transiting 21M⊕ planet from photodynamical modelling”, arXiv:1907.06534v1.

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カテゴリ:系外惑星の発見

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