ケプラーの観測データから明らかになった長周期惑星の実態

「ケプラー」宇宙望遠鏡の主要ミッションに基づいた研究で、地球の4倍以上のサイズをもつ長周期惑星(2~20年)は恒星1つあたり平均0.4個存在し、海王星サイズの惑星は木星サイズの惑星と同等以上に多いことが示されました。


今回東京大学に所属する河原創氏とプリンストン大学に所属する増田賢人氏がarXivに投稿した研究(arXiv:1904.04980)は、NASAの「ケプラー」宇宙望遠鏡のデータから見つかった長周期の惑星候補について調べたものです。

ケプラーの主要ミッション(2009~2013年)では、惑星が恒星の手前を横切るときに一時的に恒星が暗くなること(=トランジット)を利用し、約4年間に渡って惑星を探しました。

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標準的な分析方法では「惑星候補」の検出に最低3回トランジットが必要です。この方法では観測期間の半分(=約2年)より長い周期の惑星は検出できません。

一方で、1・2回のトランジットでは個々の惑星が誤検知でないことを確かめるのは困難ですが、複数の惑星候補を扱うことで長周期の惑星について統計的に調べることができます。

長周期トランジット惑星のカタログ

惑星のトランジットを観測するケプラーの想像図

今回研究チームはケプラーの長周期惑星候補93個カタログを作り、ここから惑星の可能性が高い67個を「clean sample」として抜き出しました。

clean sampleの約半数(23個)は今回新たに見つかったものです。これらは惑星と断定できない「惑星候補」ですが、詳しいデータの分析やすばる望遠鏡の観測などにより誤検知の可能性をできる限り取り除きました。

clean sampleは主に公転周期2年以上の惑星候補が含まれています。67個の惑星候補のうち、29個は木星サイズ(=半径が地球の8倍以上)、23個が海王星~木星サイズ(=地球の4~8倍)、15個が海王星サイズ以下(=地球の4倍以下)でした。

長周期惑星の統計

研究チームはカタログを用いて長周期惑星を統計的に調べました。

太陽に似た恒星(F・G・K型の主系列星)では、公転周期2~20年・サイズ(半径)が地球の4~14倍の惑星は、1つの恒星あたり平均0.39±0.07個の割合で存在することが分かりました。

長周期の領域では木星より小さい惑星は木星サイズの惑星と同等かそれ以上にありふれていることも分かりました。またサイズ分布はケプラーが観測した100-700日周期の惑星とほとんど同じでした。

短周期の木星型惑星は金属量(水素・ヘリウム以外の元素の割合)の高い恒星に見つかる傾向があります。今回の研究では、地球の4倍以上のサイズをもつ惑星で同様の傾向がありました。


今回の研究は、視線速度法(RV法)に基づく存在頻度と矛盾しないものです。また木星より小さい海王星サイズの長周期惑星は現時点ではRV法では発見が難しく、そのような惑星が木星サイズの惑星と同等以上にありふれていることは重要な結果です。

研究チームの見積もりによると、海王星サイズの長周期惑星が太陽系近傍(15-30光年)の恒星にあれば、NASAが計画中の「WFIRST」赤外線宇宙望遠鏡で観測できるとのことです。

河原氏らの研究は2019年4月10日にarXivに投稿され、11日に公開されました。コメントによると研究は『アストロノミカル・ジャーナル』に受理され掲載予定ということです。

参考文献

  • Kawahara, H. & Masuda, K., 2019, “Transiting Planet near the Snow Line from Kepler. I. Catalog”, arXiv:1904.04980v1.

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