超高密度の惑星が見つかる

地球9個分

ケプラー宇宙望遠鏡が発見した「ケプラー107」の惑星系には、これまでに4つの惑星が知られています。

この惑星系を地上から観測した研究で、惑星の1つが、地球の2倍に達する密度の天体と分かりました。惑星質量の7割が金属のコアで占められていると考えられています。

この度 Aldo S. Bonomo 氏らが『ネイチャー・アストロノミー』に投稿した研究は、「ケプラー107」の惑星系について扱ったものです。

ケプラー107太陽
質量
太陽比
1.238±0.0291
半径
太陽比
1.447±0.0141
有効温度5854±61 K5780 K
年齢約43億年46億年

惑星系の主星である「ケプラー107」は、太陽の1.45倍の半径を持つ恒星で、ケプラー宇宙望遠鏡によって周囲に4つの惑星が見つかっています。これらの惑星のサイズは、地球から海王星に相当することが分かっていますが、質量や平均密度は明らかになっていませんでした。

そこで、研究チームは、惑星の質量を調べるために、カナリア諸島ロケ・デ・ロス・ムチャーチョス天文台のイタリア国立ガリレオ望遠鏡(口径3.6m)と、それに備え付けられた分光器HARPS-Nを用いて、ケプラー107を観測しました。

観測は「視線速度法」を用いて行われました。これは、惑星の公転に伴って主恒星が揺れ動く速度を測り、間接的に惑星の軌道や質量を調べるものです。

研究チームは2014年から2017年にかけて観測した視線速度を調べ、4つの惑星のうち3つに対応する周期的変動を見つけました。

巨大な「水星」

地球の1.6倍の半径をもつ惑星に地球9個分の質量

観測で明らかになった惑星の性質は、驚くべきものでした。

内側から2番目の惑星「ケプラー107c」は、半径が地球の1.6倍にもかかわらず、質量は地球の9.4(±1.8)倍に達します。平均密度は12.6±2.4g/cm3で、地球(5.5g/cm3)の2倍以上です。

この密度の高さから、ケプラー107cは、質量の7割に及ぶ巨大な金属(主に鉄)のコアを持った、地球型惑星だと推定されます。

なお、太陽系の地球型惑星のうち、金星・地球・火星は質量に占めるコアの割合が約3割ですが、水星では約7割に達します。水星の質量が地球の18分の1であることを考えると、ケプラー107cはいわば「超巨大な水星」ということになります。

(関連記事:ラグビーボール型超短周期惑星

天体公転周期質量半径密度
地球比地球比g/cm3
b3.1803.5
±1.5
1.54
±0.03
5.3
±2.3
c4.9019.4
±1.8
1.60
±0.03
12.6
±2.4
d7.9583.8
以下
0.86
±0.06
33
以下
e14.758.6
±3.6
2.90
±0.04
2.0
±0.8

一方で、最も内側の惑星「ケプラー107b」は、「ケプラー107c」とほぼ同じサイズを持つ一方で平均密度は5.3±2.3g/cm3です。これは通常の地球型惑星として説明がつきます。

また、最も外側の惑星「ケプラー107e」は、半径が他の惑星より大きく(地球の2.9倍)、平均密度は2.0±0.8g/cm3と低くなっています。これらのサイズや密度は、コアの周囲に水素やヘリウムの層を持った惑星として予測されるものです。

なおサイズの小さい「ケプラー107d」は視線速度法では検出できませんでした。

巨大衝突が原因か

高密度の惑星が形成されるメカニズムは、いくつか知られていますが、研究チームは、ケプラー107cの場合は、惑星の形成段階で起きた巨大衝突の際に惑星のマントル(岩石の外層)が飛散したと考えています。

天体衝突のシミュレーションでは、地球質量の約10倍の惑星同士が正面衝突すると、ケプラー107cのような惑星になることが示されています。他にも、複数回の巨大衝突を繰り返したというシナリオでも同様の惑星が生まれる可能性があります。

また、ケプラー107系では、高密度の惑星の内側の軌道に、通常の岩石惑星が存在していることも重要なヒントとなります。

高密度の惑星を説明する他のメカニズムとして、マントルが紫外線やX線で蒸発したという説や、恒星に近い領域では惑星の材料自体に鉄が多かったという説があります。しかしこれらは「内側から2番目の惑星だけ」密度が高いことを説明するのは困難です。

ケプラー107cが惑星系の最も内側で形成された後、惑星の軌道が入れ替わったという考えもありますが、研究チームはそのような入れ替わりが起きた可能性は低いとしています。

天体衝突のシミュレーションは、巨大衝突で形成される惑星のコアの比率には、理論的な上限があることを示しています。研究チームは、仮に巨大衝突がありふれた現象であれば、観測が進むにつれ、その限界に沿った惑星の平均密度の分布が明らかになるのではないかとしています。

Bonomo氏らの研究は、2月4日に『ネイチャー・アストロノミー』にレターとして掲載されました。また、同研究のプレプリントは2019年2月4日にarXivに投稿され、2月5日に公開されています。

参考文献

Bonomo, A. S. et al., 2019, “A giant impact as the likely origin of different twins in the Kepler-107 exoplanet system”, Nature Astronomy, arXiv:1902.01316v1.

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