最小の相対質量を持つマイクロレンズ惑星

地球の約6倍の質量を持つ惑星がマイクロレンズ法で発見されました。これまでに同法で見つかった惑星として最も相対質量が小さい天体です。

マックス・プランク天文学研究所とオハイオ州立大に所属する Andrew Gould 氏らのグループがarXivに投稿した研究(arXiv:1906.11183)は、マイクロレンズ法で系外惑星「KMT-2018-BLG-0029Lb」を発見したことを伝えています。マイクロレンズとは、光源天体の手前を別の無関係な天体(レンズ)が通過した時に、観測される光度が一時的に明るくなる現象です。

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この惑星に関連したマイクロレンズイベント「KMT-2018-BLG-0029」は2018年5月30日に「KMTNet」によって発見され、「スピッツァー」宇宙望遠鏡の運用チームに通知されました。スピッツァーは7月にこのイベントの記録を始めました。

※KMTNetは南半球の3か所に自動化された専用望遠鏡を設置し、マイクロレンズ効果の観測を行っているプロジェクトです。

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※地球から遠く離れた宇宙望遠鏡でマイクロレンズイベントを観測し、それを地球上の観測と比べれば、イベントに関わった天体の性質を詳しく知ることができます。スピッツァーはこの目的のため2014年から800個以上のイベントを観測しています。

当初KMT-2018-BLG-0029はシンプルな山形の光度変化を示していると認識されていました。これは惑星を伴わない単純なイベントに典型的なものです。しかしKMTNetの観測データを再分析したところ、山形の光度曲線がピークに達する頃に4時間だけ光度が跳ね上がっていたことが分かりました。これはイベントを引き起こしたのは惑星を伴ったレンズ天体だと示しています。

低質量の惑星

レンズ天体「KMT-2018-BLG-0029L」は、太陽系から約8800光年の距離にある太陽に似た恒星と見られます。

惑星「KMT-2018-BLG-0029Lb」は、地球の約6.4倍の質量を持ち、主星から少なくとも3.9天文単位(地球と太陽の距離の3.9倍)の距離にあります。惑星の相対質量は主恒星に対して5万5000分の1しかなく、マイクロレンズ法で観測された惑星として最も相対質量が小さい惑星です。

これまでの観測では、低質量のマイクロレンズ惑星は主恒星の約2万分の1の質量比を持つものに集中していることが知られていましたが、それより小さいものは観測例がありませんでした。今回の発見は、質量比の小さいマイクロレンズ惑星が実際に存在していることを初めて示したものです。

マイクロレンズ法は主恒星から数天文単位の距離にある惑星に対して最も高い感度があります。このような惑星の質量分布を詳しく調べるためには、マイクロレンズ法による低質量の惑星の発見を増やすことが重要です。


Gould氏らの研究は2019年6月26日にarXivに投稿され、27日に公開されました。

参考文献

  • Gould, A. et al., 2019, “KMT-2018-BLG-0029Lb: A Very Low Mass-ratio Spitzer Microlens Planet”, arXiv:1906.11183v1.

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カテゴリ:マイクロレンズ法

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