ラランド21185の惑星が「消失」も代わりの惑星が見つかり四代目ラランド21185bを襲名か

太陽系から8.3光年の距離にある赤色矮星「ラランド21185」には、2017年に惑星発見が報告されていました。

別のグループが行った新しい研究では、ラランド21185に新たに惑星を見つけたものの、2017年に報告された惑星は確認できなかったと述べられています。


今回の研究は、ブエノスアイレス大学の R. F. Diaz 氏らがarXivに投稿したもので、2006年から続く観測プログラム「The SOPHIE search for northern extrasolar planets」の第14報に当たります。このプログラムでは、オートプロバンス天文台1.93m望遠鏡に設置された分光器「SOPHIE」を使って系外惑星を観測しています。

ラランド21185(別名グリーゼ411)は、質量や半径が太陽の4割しかない赤色矮星で、連星系を1つと数えた場合4番目に太陽系に近い位置にある恒星です。

項目Lal 21185太陽
スペクトル型M1.9G2 V
質量
太陽比
0.386
±0.039
1
半径
太陽比
0.389
±0.013
1
光度
太陽比
0.0220
±0.0021
1
有効温度
ケルビン
3563 ±605780

今回発見された惑星は、地球の約3倍の質量をもつ「スーパーアース」で、半径0.079天文単位の軌道を12.95日周期で公転しています(1天文単位=地球と太陽の距離)。

惑星は地球の3.5倍の日射を主恒星から受けており、これは太陽系で言えば水星と金星の中間です。表面に液体の水が存在するには高温過ぎると考えられています。

項目Lal 21185 b
公転周期12.9532 ±0.0079日
軌道長半径
天文単位
0.0785±0.0027
軌道離心率0.22 ±0.13
下限質量
地球比
2.99 ±0.46

今回の発見には、視線速度法と呼ばれる技法が用いられました。これは、惑星の公転に伴い主恒星の視線速度(奥行き方向の速度)に周期的変動が生じるのを光のドップラー効果として観測するものです。今回見つかった変動は、これまでSOPHIEで検出されたものとして最小の振幅(秒速1.6m)であり、研究グループは慎重にデータを分析しました。

関連記事:系外惑星の観測方法#視線速度法

変動には1.08日周期と12.95日周期の2つの成分が見られました。このうち1.08日の変動は、地球上からの観測で不可避的に生じる1日周期の誤差が引き起こした見かけの周期性(daily alias)と見られています。しかし研究グループは、現時点では2つの周期のどちらが正しいか断言できないとしています。

また、恒星の自転や黒点などの活動性が誤検知を引き起こすことがありますが、詳しい分析では、これらは惑星の観測に影響を与えていないことが分かりました。

消えた惑星の怪

ラランド21185は、2017年に別の研究グループが惑星の発見を報告したばかりです。この惑星はButler氏らが米ハワイ州のケックI望遠鏡と分光器HIRESを用いて発見した、としていました。

しかしながら、今回の研究でButler氏らの惑星は見つかりませんでした。この惑星は質量が地球の3.8倍・公転周期が9.9日とされており、実在していれば今回見つかった惑星より大きな視線速度の変動を生じさせているはずです。そのためSOPHIEの精度不足は原因ではありません。

2つの研究は、SOPHIEとHIRESという異なる装置を用いているため、どちらかの装置に問題があるのかもしれません。そこで、Diaz氏らは、公開されているHIRESのデータを今回の研究と同じ方法で分析してみました。その結果、奇妙にも9.9日周期の変動は見つかりませんでした。

2017年の研究では、今回の研究と異なる分析のアプローチが採り入れられており、Diaz氏らはそれが9.9日の周期が検出された原因と考えています。しかしこの問題については今後より詳しい検証が必要としています。

既に「四代目」

ラランド21185の惑星が「消失」したのは今回が初めてではありません。この星の周囲には1950年代から1960年代にかけてvan de Kamp氏とLippincott氏によって木星型惑星の存在が報告され、後の観測で否定されました。1996年にGatewood氏によって主張された同様の発見も、続報が無く、現在では否定的に見られています。

研究者は惑星が発見されるたびにラランド21185b(あるいはグリーゼ411b)の名前を与えているため、2017年のButler氏らの研究を含めると、今回の惑星は「四代目」のラランド21185bということになります。

ラランド21185は、赤色矮星としては夜空で最も明るく観測に適した天体の1つであるため、今後のフォローアップ観測で謎が解明されることが期待されます。

関連記事:太陽系外惑星発見ニュースの一覧

Diaz氏らの研究は2019年2月15日にarXivに投稿され、19日に公開されました。arXiv投稿時のコメントによると、研究は『アストロノミー&アストロフィジックス』に受理され、掲載予定とのことです。

参考文献

  • Diaz, R. F. et al., 2019, “The SOPHIE search for northern extrasolar planets XIV. A temperate (Teq ~ 300 K) super-earth around the nearby star Gliese 411”, arXiv:1902.06004v1.

関連記事

更新履歴

  • 2019-04-10 – 関連記事追加など

「ラランド21185の惑星が「消失」も代わりの惑星が見つかり四代目ラランド21185bを襲名か」への2件のフィードバック

  1. 1.6m/sの変化を測定できるなんて凄いですね
    1950年代にも系外惑星の報告があったのですね

  2. コメントありがとうございます

    人が歩くぐらいの速度と考えるとすごいですね

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。