褐色矮星の生命 近い将来に観測可能か

褐色矮星の大気には微生物が存在し、その証拠は近い将来に容易に観測できるようになるかもしれないという研究が公表されました。

大気中に生息する微生物の想像図。

地球生命の大部分は地表・海中・地中に生息しています。一方で、大気中に漂うエアロゾル(微粒子)で暮らす微生物もいます。これは天体の大気も生命の居所となり得ることを示しています。

大気の居住可能性(=生命が生息可能かどうか)はあまり大きな注目を集めていませんが、太陽系内では金星や木星について調べた研究が古くからあります。また近年では太陽系外の巨大ガス惑星や褐色矮星の大気についても論じられるようになっています。

ケンブリッジ大学に所属する Manasvi Lingam 氏と Abraham Loeb 氏が5月27日にarXivに投稿した研究(arXiv:1905.11410)は、褐色矮星大気の居住可能性について調べたものです。この研究では、有効温度が250~350ケルビン(-20~80℃)の「褐色矮星」に、地球の微生物に似た生物を想定しています。

※褐色矮星とは質量が惑星より大きく恒星より小さい天体のことです。その定義は曖昧ですが、今回の研究では質量が太陽の0.5~7%(木星の5~70倍)の範囲にある天体とされています。褐色矮星は、木星型惑星(巨大ガス惑星)と同様に、固体の表面を持ちません。

巨大な環境

大気中に生息する微生物の想像図。
大気中に生息する微生物の想像図。

研究チームは、褐色矮星の居住可能な環境が空間的・時間的にどれだけ存在しているのかを調べ、その大きさを地球型惑星の環境と比較しました。

まず褐色矮星は地球の約10倍の半径があり、厚さ数km~数百kmの大気層に生命が生息可能と見られます。天体1個当たりでみれば褐色矮星は地球型惑星よりはるかに大きな環境を持つことになります。

環境が保たれる時間も重要です。褐色矮星は高温の状態で生まれた後、生涯を通じて冷却されていきます。その過程で温度が350ケルビンから250ケルビンの範囲にある期間は、木星の10倍の質量をもつ褐色矮星で30億年、木星の20倍以上では宇宙の年齢(137億年)を超えます。

一方で、褐色矮星の存在頻度は、居住可能な地球型惑星より少ないと考えられています。しかしそれは褐色矮星の空間的な大きさを覆すほどではありません。

居住可能な環境の空間的・時間的な量(体積×存続期間)は、褐色矮星では地球型惑星と比べて約50倍にも達すると見積もられました。

生命は発生するのか?

生命が存在するためには単に温度が整うだけではなく、最初に生命が「発生」する必要があります。最初の生命は非生物的な化合物の「化学進化」を経て発生したものと考えられています。

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