赤色矮星の惑星「LSPM J2116+0234 b」

「CARMENES」分光器を用いた研究で、赤色矮星「LSPM J2116+0234」の周りに新たに惑星が見つかりました。

「CARMENES」はスペインのカラルアルト天文台3.5m望遠鏡に設置された分光器です。この装置は赤色矮星(低温の小さい恒星)の周りにある惑星を視線速度法で観測するのに最適で、2016年から赤色矮星を対象にした大規模サーベイを行っています。

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ドイツのゲオルク・アウグスト大学に所属するS. Lalitha氏らが『アストロノミー・アンド・アストロフィジックス』に投稿した研究(リンク)は、CARMENESサーベイのターゲットに含まれる2つの赤色矮星「グリーゼ686」と「LSPM J2116+0234」について成果を伝えています。グリーゼ686では既知の惑星を再観測し、「LSPM J2116+0234」では新たに惑星を発見しました。


グリーゼ686系

太陽系から27光年の距離にある「グリーゼ686」(=Gl 686, GJ 686)は太陽の約4割の質量・半径を持つ赤色矮星です。この星の周りにある惑星「グリーゼ686b」は、2017年に「HIRES」分光器を用いた観測で惑星候補として報告され、2019年に「HARPS」「HARPS-N」分光器のデータを加えた分析で惑星と確かめられました。

今回の研究では、これらにCARMENESのデータを加えて分析を行うことで、惑星の軌道や質量をこれまでで最も高い精度で求めました。惑星グリーゼ686bは質量が地球の6.6倍で、半径0.092天文単位(地球と太陽の距離の0.092倍)の軌道を15.53日で公転しています。

LSPM J2116+0234系

新たに惑星が発見された「LSPM J2116+0234」は、太陽系から57.5光年の距離にある赤色矮星で、グリーゼ686と同じく、太陽の約4割の質量・半径を持ちます。

CARMENESの観測データを分析したところ、この星の視線速度には14.4日の周期性が見つかりました。恒星の自転が視線速度の変動を引き起こされることもありますが、恒星の活動性指標からはこの星の自転周期は約42日であり、14.4日周期の変動とは無関係と見られる事が分かりました。

惑星「LSPM J2116+0234 b」は質量が地球の13倍で、半径0.088天文単位の軌道を14.4日かけて公転しています。


グリーゼ686bとLSPM J2116+0234 bは、共に地球の約3倍の日射を受けており、生命が存在するには高温過ぎます。

今回の研究では2つの惑星系に別の惑星が存在する明らかな証拠は見つかりませんでした。ただしグリーゼ686では既知の惑星や恒星の自転と関係のない視線速度の長期変動が存在する可能性があり、今後観測を重ねれば別の惑星が見つかるかもしれません。


Lalitha氏らの研究は2019年7月に『アストロノミー・アンド・アストロフィジックス』に掲載されました。この研究のプレプリントは5月22日にarXivに投稿され、23日に公開されました。

参考文献

  • Lalitha, S. et al., 2019, “The CARMENES search for exoplanets around M dwarfs Detection of a mini-Neptune around LSPM J2116+0234 and refinement of orbital parameters of a super-Earth around GJ 686 (BD+18 3421)”, arXiv:1905.09075).

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カテゴリ:赤色矮星

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