地磁気に大した役割は無い?

惑星の磁気圏は惑星表面に届く宇宙線を減らすとともに大気の流失を抑えます。そのためしばしば惑星の居住可能性(生命が存在できるかどうか)の条件とされます。

しかし数値モデルを用いた研究では、地球のような惑星では磁気圏の有無は限られた影響しかないと示されました。


ハーバード大に所属する Manasvi Lingam 氏がarXivに投稿した研究(arXiv:1904.03353)は、磁気圏が宇宙線や大気流出にどれだけ影響するかを調べたものです。

検証の結果、地球の条件では磁気圏が消えたとしても地表に降り注ぐ宇宙線は2倍に増加するに留まり、生命にほとんど影響はないと推測されました。また大気の流出速度は最大で2.5倍へ増加しますが、元々流出の小さい地球では大きな影響はありません。

一方で、惑星の大気が薄いと磁気圏の有無がもたらす影響は大きくなります。

Lingam氏は研究を火星にも当てはめました。火星の磁気圏は約40億年前(火星形成から数億年)にほぼ消滅したと考えられています。

現在の火星には薄い大気しか残っていませんが、40億年前の火星には厚い大気があったため地磁気消滅の影響はわずかだったようです。一方で、その後数十億年に渡る火星大気流出の歴史には大きな影響を与えた可能性があります。

太陽系外惑星に目を向けると、地球に似た条件の星では磁気圏は居住可能性に影響しないと考えられます。

しかし赤色矮星(太陽より小さく低温の恒星)の惑星では磁気圏の有無にかかわらず大気が流出して薄くなりやすいと見られており、そのような環境では居住可能性に無視できない影響を与えうるということです。

Lingam氏の研究は2019年4月6日にarXivに投稿され、9日に公開されました。

参考文献

  • Lingam, M., 2019, “Revisiting the biological ramifications of variations in Earth’s magnetic field”, arXiv:1904.03353v1.

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