ルイテン98-59系の惑星質量が明らかに

系外惑星観測衛星「TESS」が発見した「ルイテン98-59」系で3つの惑星の質量が測定されました。

ルイテン98-59系の惑星と太陽系の地球型惑星

「ルイテン98-59」(L 98-59)は太陽系から35光年の距離にある太陽系近傍の星の1つで、太陽の約1/3のサイズしかない赤色矮星(低温の小さい恒星)です。この星の周りには2019年に公転周期2.3~7.5日の3つの系外惑星が報告されています。

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3つの惑星は「TESS」衛星のデータからトランジット法で見つかりました。トランジット法とは、恒星の手前を横切る惑星が恒星の光を遮る現象を観測する方法です。惑星は内側から地球の0.8倍、1.35倍、1.57倍の半径を持ちます。

※ルイテン98-59系の惑星発見を伝える論文では上記の数字よりやや小さい惑星サイズが示されていますが、この記事では今回の研究の値に基づきます。

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ルイテン98-59系の惑星と太陽系の地球型惑星
ルイテン98-59系の惑星(上)と太陽系の地球型惑星の比較。円の半径が惑星半径、横軸が地球を1とした日射量(対数スケール)を表す。

トランジット法は惑星のサイズを知ることができますが、質量や密度は分かりません。そのため質量を測定するためのフォローアップ観測が求められていました。

質量の測定

カナダのトロント大学に所属する R. Cloutier 氏らの研究グループが5月25日にarXivに投稿した研究(arXiv:1905.10669)は、視線速度法を用いてルイテン98-59の惑星質量を測定したものです。視線速度法とは、惑星の公転運動が恒星の視線速度に周期的な変動をもたらすことを利用した方法です。

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研究グループは2018年10月から2019年4月にかけて、チリのラ・シヤ天文台にあるESO 3.6m望遠鏡と「HARPS」分光器を用いてルイテン98-59を161回観測しました。

観測された視線速度から恒星本体に由来する変動成分を取り除いて調べた結果、3つの惑星のうち中間の惑星cは質量が地球の2.5±0.3倍、外側の惑星dは2.3±0.5倍でした。内側の惑星bは視線速度の明らかな変動が見つからなかったことから、質量は地球の0.98倍以下と見積もられました。

惑星の組成

研究グループは、すでに知られていた惑星のサイズと今回測定した質量から惑星の平均密度を計算しました。それによると惑星cは 5.5±1.2 g/cm3、惑星dは 3.3±1.2 g/cm3でした。また最も内側の惑星bは上限が 12.7 g/cm3でした。

これらの平均密度から惑星の組成を推定すると、惑星c(5.5±1.2 g/cm3)は密度が地球に近く、地球に似た岩石惑星(地球型惑星)と考えられています。

一方惑星dは岩石惑星としてはやや密度が低く(3.3±1.2 g/cm3)、岩石の他に氷や水素・ヘリウムなどの低密度の物質が含まれるかもしれません。ただし測定結果の不確かさを考えると岩石惑星の可能性もあります。

最も内側の惑星bは密度の上限しか分かっていません。サイズの小ささと温度の高さを考慮すると、岩石惑星の可能性が高いとみられています。仮に密度が上限の12.7g/cm3であれば、この惑星はほとんど鉄から成ると推定されますが、実際の密度はこれよりずっと低いと考えられています。


太陽系近傍にあるルイテン98-59は、発見当時から重要な観測ターゲットと目されていました。今回の研究はこの惑星系を舞台にした研究の第一歩と言えるものです。ルイテン98-59は、NASAが開発中のジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡を用いた惑星大気観測の有望なターゲットの1つでもあります。

Cloutier氏らの研究は2019年5月25日にarXivに投稿され、28日に公開されました。

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参考文献

  • Cloutier, R. et al., 2019, “Characterization of the L 98-59 multi-planetary system with HARPS Two confirmed terrestrial planets and a mass upper limit on the third”, arXiv:1905.10669v1.

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カテゴリ:視線速度法

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