13年前のデータから見つかった系外惑星

2006年の観測データから、マイクロレンズ法で低質量の主星を公転する巨大ガス惑星「MOA-bin-29b」が見つかりました。

大阪大に所属する近藤依央菜氏らの研究グループがarXivに投稿した研究(arXiv:1905.01239)は、マイクロレンズ法によって惑星「MOA-bin-29b」を発見したことを伝えています。

マイクロレンズは重力レンズ効果の一種で、光源となる天体の手前をレンズ天体が横切る時に、光源から放たるた光の進路が歪められ、一時的に天体の明るさが変動する現象です。見つかった惑星はマイクロレンズに関与した天体のうちのレンズ天体の周りにあります。

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惑星系

MOA-bin-29bは木星程度の質量を持つ木星型惑星(=巨大ガス惑星)です。主星は褐色矮星または低質量の恒星と見られます。マイクロレンズ法特有の問題のため惑星系の性質には大きな不確かさがあります。

※褐色矮星は質量が恒星より軽く惑星より重い天体のです。

低質量の主星と木星型惑星の組み合わせからなる惑星系は、他にもマイクロレンズ法で複数見つかっています。このような惑星系は、木星型惑星の標準的な形成理論「コア集積モデル」では説明し難いものです。

発見

この惑星に関するマイクロレンズイベントは、2006年にマイクロレンズ観測プロジェクトの「MOA」に記録されましたが、自動通告システムを素通りしていました。その後、2006年から2014年の記録を再点検した際に見つかりました。

このイベントは単純な山型とは異なる光度変化を示していたことから、レンズ天体が惑星を持つことが明らかになりました。レンズ天体の小さい質量を反映してイベントの期間は4〜7日程度と短いものでした。

別のプロジェクト「OGLE」でもこのイベントは観測されていましたが、変光は十分捉えられていませんでした。

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不確かさ

マイクロレンズ法では一つの観測結果(光度変化のパターン)に複数の解が成り立つ問題があり、今回は5つの異なる解が存在しました。またこれとは別に、レンズ天体の質量が直接求まらない問題もあります。

とはいえ今回のケースでは、5つの解釈で予想される惑星の性質(主星からの距離・質量比)は互いにそれ程違うものではありません。またレンズ天体の質量は確率分布を用いて間接的に求めることができます。


レンズ天体の質量を直接求めるには十分に離れた2点でイベントを観測する必要があります。イベント期間が長ければその間に地球が太陽の周りを公転することでこの要件を満たせることがありますが、今回のような短期イベントではその効果は期待できません。

問題は地球から離れた位置にある宇宙機を用いれば解決できます。このコンセプトは既にスピッツァー宇宙望遠鏡を用いて実証されており、研究チームは開発中のWFIRST宇宙望遠鏡を用いることでさらに詳しい研究が進むことに期待を寄せています。

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近藤氏らの研究は2019年5月3日にarXivに投稿され、6日に公開されました。

参考文献

  • Kondo, I. et al., 2019, “MOA-bin-29b : A Microlensing Gas Giant Planet Orbiting a Low-mass Host Star”, arXiv:1905.01239v1.

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