系外惑星候補を多色観測で簡単に確認する方法

宇宙ミッション等で発見される膨大な量の惑星候補を、どのようにして効率よく確認していくかが課題となっています。トランジットの多色観測はその解決策の1つです。

周縁減光の波長依存性

2018年に打ち上げられた「TESS」や、2026年の打ち上げが予定されている「PLATO」は、系外惑星が恒星の手前を横切る現象(トランジット)を用いて、数百から数千個の「惑星候補」を見つけることが期待されています。

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惑星候補を惑星と確かめるにはフォローアップ観測が必要です。その方法としては「視線速度法」(RV法)が確実ですが、RV法を行える高性能な望遠鏡は限られているため、この方法で全ての惑星候補を調べるのは現実的ではありません。

カナリア天体物理研究所に所属する H. Parviainen 氏らの国際研究チームがarXivに投稿した研究(arXiv:1907.09776)は、トランジットの多色観測(=異なる波長の光を通じて観測すること)を通じて、比較的簡素な設備でトランジット惑星のフォローアップを進める方法について検証しています。

確認観測の必要性

フォローアップ観測の主な目的は誤検出を見分けることです。特に、膨張した木星型惑星(巨大ガス惑星)は褐色矮星や低質量の恒星と似たサイズを持つため、「惑星と思っていた天体が褐色矮星や恒星だった」というシナリオがよく起こります。

一方で、恒星や褐色矮星は木星の0.8倍以下の半径にはならないと考えられています。惑星候補がこれより小さいサイズならば、トランジットの観測のみで十分なように思えます。

ところがまだ安心はできません。惑星系の近くに別の光源がある状況では、それが測定される光に混じることで、トランジットの光度変化が「希釈」される可能性があります。このケースでは見かけの減光率が真の減光率より小さくなり、その分だけ惑星のサイズは過小評価されます。

例えば「木星の0.4倍のサイズなので惑星に違いない」と思われていた天体が、実は「木星の1.5倍のサイズを持つ恒星だった」ということが起こり得ます。

光源を分離して観測できれば問題ありませんが、光源がターゲットにごく近い位置にある場合は困難です。特に比較的解像度の低いシステムを用いる「TESS」や「PLATO」などの宇宙ミッションでは、このような問題が起きやすい事情があります。

多色観測

混入する光の有無やその割合を測定する上で、トランジットの多色観測は効果的です。混入の割合が分かれば真の減光率や惑星の真のサイズを絞り込むことができ、真のサイズが木星の0.8倍以下であれば多色観測単独で惑星候補を確認することもできます。

減光率の波長依存性

多色観測は特に、惑星候補の主恒星(以下「ターゲット」)と、混合する光源の間で、温度(色)が異なるケースで力を発揮します。

色(光の波長ごとの強さの分布)が異なる2つの光源(A:赤線・B:青破線)が合成されて単一の光源(黒太線)として観測される例。
寄与率
混合した光源のうちAが寄与する割合を波長ごとに見たもの。光源の色が異なる場合寄与率が波長によって変化する。

ターゲットと混合した光源で色が異なる場合、観測される光のうちターゲットに由来する割合が波長によって変化し、波長ごとに異なるトランジットの減光率が記録されます。これを調べれば、どのような色の光源がどれほどの割合で混入しているかを知ることができます。

周縁減光の波長依存性

周縁減光(または周辺減光)とは、恒星を観測した時に周縁部ほど暗く見える現象です。トランジットの減光パターンは底面が完全な平らではなく、U字型になっていますが、これは周縁減光の影響によるものです。

周縁減光の波長依存性
周縁減光の波長依存性

周縁減光の程度は一般的に波長が長い光(赤外線や赤い光)では小さく、短い光(青い光や紫外線)では大きいことが知られています。そのため多色観測をすると波長ごとに異なるパターンの減光が記録されます。このパターンは恒星に対する惑星の相対的なサイズにも影響されるため、恒星に対する惑星の相対的なサイズを絞り込めます。

仮に光の混合が無ければ、光度曲線の比較と減光率から推定される惑星候補のサイズは同じになるはずです。これが矛盾していれば、見かけの減光率と真の減光率に差があることになります。

シミュレーション

研究チームは多色観測の有用性を検証するために、赤色矮星(低温の恒星)の周りにトランジット惑星が存在し、これに対して別の恒星の光が混じっている状況を、小型の望遠鏡で多色観測することを想定したシミュレーションを行いました。


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