奇妙な小惑星を電波で観測

太陽系外に起源を持つかもしれない小惑星を電波望遠鏡で観測した結果、何も見つかりませんでした。

小惑星「2015 BZ509」は、木星との1:1の共鳴軌道を逆行軌道で周回する風変わりな小惑星です。

これまでの研究で、BZ509は太陽系外からやってきた小天体が、太陽を周回する軌道に捕らえられたものである可能性が示されています。太陽系内を通過した多数の小天体のうち、偶然安定した軌道に捕らえられたのがBZ509だという説明です。

しかし、この天体が地球外知的生命が送り込んだ人工物だという可能性も、完全にゼロではありません。

D. C. Price氏らが『Research notes of the AAS』で公表した研究は、「ブレイクスルー・リッスン」と呼ばれる地球外知的生命の科学的探査プログラムの一環として、2015 BZ509を観測した結果が述べられています。観測には豪パークス天文台の64m電波望遠鏡が用いました。

まず研究チームは、宇宙空間における通信周波数として想定される「21cm線」の周波数を中心に、狭帯域の電波信号を探しましたが、信号らしきものは見つかりませんでした。

今回の観測は、仮にBZ509が狭帯域の電波を発していたとしても、その送信出力は4.8W以下であることを示しています。

研究チームはこれに加え、過去の観測を含めたデータから、広帯域のパルス信号を探しました。用いられた分析法は、銀河系外で発生する「高速電波バースト」と呼ばれる現象を検出するためのもので、BZ509の観測に適していません。しかし、少なくともこの方法で検出可能な範囲では、BZ509の方角からのパルス信号は見つかりませんでした。

今後「ブレイクスルー・リッスン」では、恒星間から飛来した可能性がある他の小惑星を対象に観測を行う予定です。

Price氏らの研究は、2019年1月25日に『Reserch Notes of The AAS』(RNAAS) の掲載記事としてオンラインで公開されました。RNAASはアメリカ天文学協会が発行する査読制をとらない学術誌で、小規模な研究の発表や観測結果の速報などに利用されています。

参考文献

Price, D. C. et al., 2019, “Breakthrough Listen Observations of Asteroid (514107) 2015 BZ509 with the Parkes Radio Telescope”, RNAAS 3, 19.

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