OGLE-2018-BLG-0740Lb・マイクロレンズ法で発見された系外惑星

マイクロレンズ法で新たに惑星が見つかりました。惑星系の主恒星はマイクロレンズ法で観測されたものとしては明るい天体で、今後視線速度法などを用いた詳しい観測が期待されます。

重力マイクロレンズに伴う変光の例

韓国の忠北大学に所属する Cheongho Han 氏らがarXivに投稿した研究(arXiv:1905.00155)は、マイクロレンズ法で惑星「OGLE-2018-BLG-0740Lb」を発見したことを伝えています。

この惑星に関連したマイクロレンズイベント「OGLE-2018-BLG-0740」は、主要なマイクロレンズ観測プロジェクトの一つ「OGLE」によって最初に発見され、同様のプロジェクト「MOA」「KMTNet」でも観測されました。

新しく見つかった惑星「OGLE-2018-BLG-0740Lb」は木星の約5倍の質量がある木星型惑星で、主恒星から3〜5天文単位(=地球と太陽の距離の3〜5倍)の位置にあります。主恒星の「OGLE-2018-BLG-0740L」は太陽に似た恒星です。

惑星系の性質については、マイクロレンズ法特有の問題のため2通りの解(closeとwide)が存在します。

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観測

マイクロレンズとは、光源となる遠方の恒星の手前を、レンズ役となる天体が偶然通り過ぎるときに、天体(光源+レンズ)の明るさが一時的に変動する現象です。

マイクロレンズは通常は単純な山形の変光パターンを示しますが、OGLE-2018-BLG-0740ではピークの前に特徴的な光度の変化が起きたことから惑星の存在が分かりました。

複数の解釈

重力マイクロレンズに伴う変光の例
重力マイクロレンズに伴う変光の例。レンズ役の天体に惑星や伴星が存在する場合、単純な光度変化のピーク前後に一時的な増光が現れる場合がある。

マイクロレンズ法では観測記録にモデルから予想される光度変化を当てはめることで天体の性質を調べます。このとき複数の異なるモデルが観測記録と一致してしまう問題があります。特に惑星から主星までの距離に2通の解が存在する問題(close/wide degeneracy)は多くのケースでつきまといます。

今回の事象ではこの問題に加えて、光源の視直径が大きいモデルと小さいモデルの2通りで観測を再現できてしまう問題も加わり、その組み合わせで4通りのモデルが成り立ちました。

レンズ天体の正体は、光源が (1) 大きいモデルでは遠方(銀河バルジ内)にある低質量の恒星を中心とした惑星系、(2) 小さいモデルでは比較的近傍(銀河円盤内)にある太陽に似た質量の恒星を中心とした惑星系 と推定されます。

フォローアップ観測

ここから正解を絞り込むのはマイクロレンズ法単独では困難てす。そこで研究グループはチリのラス・カンパナス天文台にあるマゼラン・バーデ望遠鏡でマイクロレンズを起こした天体を観測しました。

マゼラン望遠鏡の観測では、レンズ天体のスペクトル(波長ごとの光の強さ)は太陽に似た恒星(G型主系列星)の特徴に一致していることが分かりました。これは4つの解釈のうち、レンズ天体の質量が太陽に似ていることを予測する「光源が小さい」モデルの2つが正しいことを強く裏付けています。

またこのレンズ天体は、欧州宇宙機関が運用する「ガイア」衛星のカタログにも記載されています。それによるとこの天体の固有運動は遠方(銀河バルジ)の天体としては不自然に大きいものであり、この点からもレンズ天体が比較的近傍にあると予測する「光源が小さい」モデルの正しさが補強されます。

なおcloseとwideのどちらが正しいかを見分けるのはこの種のフォローアップ観測では困難です。そのため最終的な惑星系の性質としてはcloseとwideの解が併記されています。


今回のマイクロレンズは、レンズ天体の光が混合した光の大部分を占めます。またレンズ天体がマイクロレンズに関わる天体としては明るいことが特徴です。このため視線速度法によるフォローアップ観測が可能かもしれません。

視線速度法ではマイクロレンズ法ではわからない惑星の軌道や、内側に存在するかもしれない別の天体を調べることができます。

レンズ天体OGLE-2018-BLG-0740Lは、赤外線で17等級・可視光で18等級と暗いため観測には大型の望遠鏡が必要になりますが、仮に観測できればマイクロレンズ法と視線速度法の両方で観測された最初の惑星となります。

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Han氏らの研究は2019年5月1日にarXivに投稿され、2日に公開されました。

参考文献

  • Han, C.-G. et al., 2019, “Spectroscopic Mass and Host-star Metallicity Measurements for Newly Discovered Microlensing Planet OGLE-2018-BLG-0740Lb”, arXiv:1905.00155v1.

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カテゴリ:マイクロレンズ法

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