オウムアムアは彗星の残骸?

2017年に発見された「オウムアムア」は、観測史上最初の太陽系外に起源を持つ小天体です。この天体は、異常に細長い形状や、彗星のようなガスの放出が無いにもかかわらず非重力的な加速が観測されるなどの、風変わりな特徴が見つかっています。

この度、オウムアムアは彗星が分解した際に発生したダストが集合したものと考えれば、これらの特徴を説明できるという研究が公表されました。

NASAジェット推進研究所の Z. Sekanina 氏がarXivで公表した仮説は、オウムアムアを、分解した太陽系外彗星の残骸としています。

太陽系内の彗星では、サイズが小さくかつ太陽に近づくものは、高い頻度で分解することが知られています。

オウムアムアは発見前に太陽から0.25天文単位(1天文単位=太陽と地球の距離)に接近していたと見られますが、Sekanina氏がこれを彗星に関する経験則に当てはめたところ、オウムアムアのサイズでは生き残れそうにないことが分かりました。

しかし、オウムアムアは太陽接近後に発見されているため、完全な崩壊は免れたことになります。

奇妙な塊

そこでSekanina氏が着目したのは、「C/2017 S3」と呼ばれる彗星です。この小さい彗星は太陽に0.21天文単位まで近づく軌道を辿っていましたが、2018年6・7月に2回のアウトバースト(突発的な増光)を起こし、太陽から約0.9天文単位の距離で消滅しました。

この時に発生したダストの分布は、単純に2回のアウトバーストに伴って放出されたものとしては説明し難いものでした。

代わりに、1回目の小規模なアウトバーストの前後に、低速で放出されたダストが重力で再集合して一時的に低密度の塊になっていたというモデルが示されています。

Sekanina氏は同様の現象がオウムアムアに起きたのではないかと考えています。

この説によれば、オウムアムアは揮発性物質に富んだ彗星として太陽系に飛来しました。

オウムアムアは太陽接近中に崩壊し、低密度のダストの塊となります。しかし2回のアウトバーストで完全に崩壊したC/2017 S3のケースと異なり、辛うじて太陽への接近を生き残りました。その後太陽から離れていくところを発見されたことになります。

この仮説は、オウムアムアの謎をいくつか説明できます。

まず、発見後の観測でガスの放出がないのは、過去のアウトバーストで揮発性物質が全て放出されたためと説明できます。

非重力的な加速も太陽光圧によるものとして説明できます。この加速度はオウムアムアが通常の「中身の詰まった天体」であれば微々たるものですが、仮に低密度の塊であれば無視できない大きさになります。

奇妙な形状も、ダストの塊として説明がつく可能性があります。

ただしこの仮説はオウムアムアが彗星に類似した特性を持つことや、ダストの塊としての状態を長期間維持できることを前提としています。

Sekanina氏は、仮にオウムアムアがアウトバーストを起こしていれば、発見前の観測データに記録が見つかるかもしれないと期待しています。

Sekanina氏の研究は2019年1月25日にプレプリントとしてarXivに投稿されました。

参考文献

Sekanina, D., 2019, “1I/`Oumuamua As Debris of Dwarf Interstellar Comet That Disintegrated Before Perihelion”, arXiv:1901.08704.

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