オウムアムアそもそも加速していない可能性

2017年に発見された恒星間天体「オウムアムア」は、重力以外の力によって加速しているとされ、加速のメカニズムについて大きな議論を巻き起こしました。今回、加速の根拠とされる研究の信頼性に疑問を呈する研究が公開されました。


恒星間から飛来した小天体「オウムアムア」の軌道は、純粋な重力で決まる軌道からわずかに逸れており、重力以外の力で加速度が生じているとされます。

その原因として彗星のようなガスの放出があるという説や、太陽光圧で加速しているという説があります。

しかし前者ではオウムアムアにガスや塵の放出が全く見られない問題があり、後者では十分な加速を生じるためにはオウムアムアが異常に薄いかあるいは異常に低密度でなければならない問題があります。


今回米ワシントン大に所属するJ. I. Katz氏が『アストロフィジックス・アンド・スペースサイエンシス』に投稿した研究(リンク)は、オウムアムアの加速を報告した2018年のMicheli氏らの研究(リンク)を見直し、根拠とされるデータに奇妙な点があることを指摘しています。

オウムアムアが加速している根拠は次のようなものです。観測されたオウムアムアの位置に対して、重力加速のみから予測される位置と、重力加速+非重力加速で予測される位置を当てはめ、後者の方が優れた再現性が得られたことです。

Katz氏は、2018年のデータの中で、1夜の間に複数の観測が行われた部分に注目しました。ここでは、重力のみを考慮したモデルでは、予測に対して通常の誤差を超える大きなばらつきが見られていました。一方で非重力加速を考慮したフィットでは、このばらつきは1/3に縮小しました。

これはよく考えると奇妙なことです。非重力加速は長期にわたって少しずつ軌道をずらしていきます。そのため長い間隔を開けて得られたデータであれば非重力加速を採り入れることでモデルからのばらつきが小さくなることは有り得ます。しかし1夜に観測された複数のデータで、非重力加速を採り入れてばらつきが大幅に小さくなるのは考えづらい現象です。

Katz氏の考察は、2018年の研究の中で観測データにモデルを当てはめる過程で何らかの問題が起きていたことを示唆しています。

参考文献

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。