奇妙な円盤と惑星を持つ恒星は過去に別の恒星と接近していた

惑星を持つことが知られている連星系「HD 106906」が、過去に別の恒星と近接遭遇していたという研究が公表されました。

奇妙な連星系

HD 106906は「さそり座-ケンタウルス座アソシエーション」と呼ばれる若い星の集団に含まれる連星系です。連星の2つの星は平均距離で約0.4天文単位(=地球と太陽の距離の0.4倍)離れています。

この連星系の周りにはデブリ円盤(ガスを欠いたダストの円盤)があり、木星の11倍の質量を持つ惑星「HD 106906 b」が直接撮影法で見つかっています。

関連記事:系外惑星の観測方法#直接撮影法

この系の特徴は、デブリ円盤の外側が形が著しく非対称な形をし、惑星が738天文単位という主恒星から遠く離れた位置にあることです。

明らかになった過去

スタンフォード大学のRobert J. De Rosa 氏とカリフォルニア大学バークレー校のPaul Kalas氏がarXivに投稿した研究は、別の恒星が過去にHD 106906に接近し、このような特徴を生み出したというシナリオを検証しています。

De Rosa氏らは、欧州宇宙機関のガイア衛星が記録した太陽系から恒星までの距離および天球上での動きと、地上観測で得た視線速度(奥行き方向の速度)を組み合わせ、アソシエーションに含まれる星の立体的な位置と動きを調べました。

その結果、HIP 59716とHIP 59721という2つの星が過去500万年以内にHD 106906に1パーセク(約3光年)未満に接近していたらしいことが分かりました。HIP 59716とHIP 59721は互いに近い位置にあり、同じ方向に運動していることから、この2つの恒星もまた互いに重力で結びついた連星だと考えられています。

接近距離や時期の誤差は、主に視線速度の測定の不確かさに由来しています。今後の観測で精度を向上させれば、近接遭遇についてより正確なことが分かると期待されています。


De Rosa氏らの研究は2019年2月26日にarXivに投稿され、28日に公開されました。arXiv投稿の際のコメントによると、研究は『アストロノミカル・ジャーナル』に受理され掲載予定ということです。

参考文献

De Rosa, R. J. & Kalas, P., 2019, “A Near-coplanar Stellar Flyby of the Planet Host Star HD 106906”, arXiv:1902.10220v1.

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。