ALMAが成長中の惑星を発見か

南米チリにある「ALMA」電波望遠鏡の観測で、恒星「HD 100546」の周囲に成長中の原始惑星と見られる電波源が見つかりました。

HD 100546は太陽系から はえ座の方角に320光年離れた位置にある若い恒星です。この星は太陽の約2倍の質量を持ち、恒星を取り囲む塵とガスの円盤(原始惑星系円盤)の中で惑星系が作られつつあります。

HD 100546の円盤は幅の広い隙間で内側と外側に隔てられています。赤外線を用いた研究では、惑星が存在する可能性があると報告されていますが、今のところ確実なものではありません。

※HD 100546の円盤の形状は、スケールは異なるものの、形成中の惑星に関する発見が相次いでいるPDS 70の円盤に似ています。


チリのサンティアゴ・デ・チレ大学に所属する Sebastián Pérez 氏がarXivに投稿した研究(arXiv:1906.06305)は、チリにある「ALMA」電波望遠鏡を用いてHD 100546の円盤を観測した結果を伝えるものです。2017年に行われた観測では、広い波長に広がった塵に由来する放射と、特定の波長に集中した一酸化炭素に由来する放射が調べられました。

一酸化炭素は原始惑星系円盤のガスに含まれるため、その放射は円盤ガスの分布を知るために役立てられています。また一酸化炭素の放射に表れるドップラー効果を測定すれば、ガスの運動のうち視線方向(奥行き方向)の成分が明らかになります。

結果

ALMAの観測データには、これまでに知られていたHD 100546の内外の円盤と大きな隙間が写っていました。これに加えて、小さな電波源が隙間の中に新たに見つかりました。この電波源は中心星から7.8天文単位(地球と太陽の距離の7.8倍)の位置にあり、形成中の惑星に関連している可能性があります。仮にこの電波源が惑星であれば、木星と土星の中間に相当する軌道半径を持っていることになります。

この電波源は惑星単体によるものとしては強い電波を放出しているため、惑星に落ち込む物質が一時的に留まる「周惑星円盤」が惑星を取り囲んでいると見られます。研究チームは観測された電波の強さから、およそ月質量に相当する量の塵が周惑星円盤に含まると見積もっています。


原始惑星系円盤に電波や赤外線で明るい領域が見つかたとしても、それが惑星かどうかを確かめるのは容易ではありません。今回は一酸化炭素の動きに重要なヒントがありました。単純な原始惑星円盤ではガスの視線速度は滑らかに分布しますが、HD 100546では発見された電波源に沿って円弧状の速度の乱れが生じていました。これは、ガスの流れに影響を与える惑星が実在することを示しています。

仮に電波源が円軌道を廻る惑星だとすると、約17年という比較的短い時間で軌道を一周していると考えられます。この電波源はまだ惑星「候補」の段階ですが、今後電波源の位置やガスの運動の乱れがどのように変わるかを調べれば、本当に惑星なのか確かめることができると期待されています。


Pérez氏らの研究は2019年6月日にarXivに投稿され、18日に公開されました。コメントによると研究は『アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ』に掲載予定ということです。

参考文献

  • Pérez, S. et al., 2019, “Long Baseline Observation of HD 100546 with ALMA: A Possible Circumplanetary Disk Detected in Dust Continuum and Gas Kinematics.”, arXiv:1906.06305v1.

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カテゴリ:原始惑星系円盤

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