微惑星は風に吹かれて瓦解する

惑星の材料となる小天体「微惑星」は、周囲に存在する円盤ガスに吹かれて分解しうるという研究が発表されました。

風前の星

惑星形成の最初の段階は、恒星を取り囲むガス円盤の中で「ペブル」と呼ばれるミリメートルサイズの粒子が成長することで始まります。

近年の研究では、これが重力で寄り集まって一挙にキロメートルサイズの「微惑星」になり、その後惑星に成長していくという説が有力に唱えられています。

この方法で作られた微惑星は、凝集力の弱い「ペブル」が微小な重力で寄り集まったものです。微惑星とガス円盤の間には秒速50メートル程度の相対的な運動(いわば「風」)があるため、微惑星の表面から粒子が剥がれ落ちる「風食」が起きるかもしれません。

風食が起きる条件として、2000年にShao氏とLu氏が発表した式が広く用いられていますが、微惑星が置かれるような低圧・微小重力環境下で、この式が成り立つかは分かっていませんでした。

風洞 空を飛ぶ

デュースブルク=エッセン大学のDemirci氏らがarXivに公開した研究は、低圧・微小重力条件に置いた風洞内の試料に風を吹き付ける実験を扱っています。

実験装置は、内部を減圧できる内径10cmの風洞と、風洞を回転させて遠心力を与える機構を備えます。試料としては「ペブル」と特性が類似する直径0.425-0.450ミリメートルのガラスビーズを利用しました。この装置は以前に火星地表の風食を研究するために用いたものです。

準備の整った装置は、航空機に積み込まれ、「放物線飛行」に旅立ちます。放物線飛行とは、重力加速度を打ち消すように飛行を制御し、一時的に微小重力環境を実現する方法です。

実験は1回15秒で合計6回、地球表面上の80~300分の1の気圧と1~2割の重力加速度の範囲内で、条件を変えながら行われました。設定した条件は微惑星表面の想定と比べて高圧かつ高重力ですが、装置の性能上の限界ということです。

実験の結果、検証した条件内では、Shao氏とLu氏の式は有効なことが、初めて実証されました。

モデルへの適用

研究チームはこの成果を、惑星誕生の場となる「原始惑星系円盤」のモデルの1つである「MMSNモデル」に当てはめ、微惑星が風食されるかどうかを調べました。

その結果、MMSNモデルの条件下では、原始惑星系円盤の中で、ある境界より恒星に近い領域で微惑星が風食されることが分かりました。境界は「ペブル」の凝集力の仮定によって異なりますが、0.1から1.5天文単位(1天文単位=地球と太陽の距離)の範囲と推定されています。

今回の研究は、具体的かつ現実的な条件の下で、微惑星が風食により分解し得ることを示しています。

研究チームは現在、より低圧・低重力での実験を行うために、新しい実験装置の開発を進めているということです。

Demirci氏らの研究は2019年1月23日にプレプリントとしてarXivに投稿されました。

参考文献

Demirci, T. et al., 2019, “Are Pebble Pile Planetesimals Doomed?”, arXiv:1901.07919v1.

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