太陽系外惑星ケプラー419bを楕円軌道に押しやった犯人は?浮かび上がる第三者の関与

惑星の軌道半径が小さくなるメカニズムの1つとして、惑星の軌道が恒星に近づく楕円軌道に変化した後、軌道が縮小するというモデルがあります。これを惑星系「ケプラー419」に当てはめ、その軌道配置を説明できるかどうか検証した研究が行われました。

ホットジュピターとは、中心恒星から間近の軌道にある巨大ガス惑星です。この種の天体は、惑星系の外側で生まれた後に軌道半径が縮小し、今の位置に移動(マイグレーション)してきたと考えられています。

マイグレーションのメカニズムは2つに大別されます。

1つは、惑星が円軌道を保ったまま軌道が縮むというものです。もう1つは、惑星が何らかの原因で主恒星に極端に近づく楕円軌道になり、恒星から潮汐力が働く結果、数千万年から数十億年をかけて円軌道化と軌道半径の縮小が起きるというものです。

後者のメカニズムはさらに、他の恒星との近接遭遇や惑星同士の重力散乱などの一過性の出来事によって楕円軌道になるものと、外側にある惑星が長期的に影響を与える「永年相互作用」(secular interaction)によって楕円軌道になるものに細分されます。

楕円軌道マイグレーション
惑星が楕円軌道に変化し楕円軌道が円軌道化されると結果的に軌道半径の縮小(内向きのマイグレーション)が起きる。(詳細

(関連記事:恒星の近接遭遇が頻発する散開星団、惑星系は生き残れるのか?

2つの巨大惑星

ペンシルバニア州立大学の Jonathan M. Jackson 氏らが公表した研究では、恒星「ケプラー419」を中心とする、2つ巨大ガス惑星を含んだ惑星系で、永年相互作用がどのように影響を与えてきたかを調べたものです。

項目ケプラー419
質量
太陽比
1.39±0.08
半径
太陽比
1.75±0.08

ケプラー419系は、内側の軌道に惑星「ケプラー419b」(以下「惑星b」)が、外側の軌道に「ケプラー419c」(以下「惑星c」)があります。特に内側の惑星bは極端な楕円軌道を公転しています。

項目ケプラー491bケプラー491c
公転周期69.75日675.5日
軌道長半径
天文単位
0.370±0.0071.68±0.03
離心率0.833±0.0130.184±0.002
質量
木星比
2.5±0.37.3±0.4

現在惑星bはホットジュピターではありませんが、比較的小さい軌道半径と極端な軌道を持つため、楕円軌道を経てホットジュピターに変化するマイグレーションの途上にある天体かもしれません。

惑星bの近点距離(最も主恒星に近づいた時の距離)は0.06天文単位で、これまでの研究によるとこれはマイグレーションには不十分です(1天文単位=地球と太陽の距離)。惑星bの軌道は惑星cとの永年相互作用により変動しますが、これを考慮してもなお近点距離は十分に小さくならないと見られています。

未発見の天体?

ただ、この惑星系に存在する惑星は2つだけとは限りません。仮に惑星bに影響を与える未発見の天体があれば、惑星bはマイグレーションが働くに十分なほど主恒星に接近するかもしれません。

そこで研究グループは、様々な条件で未発見の仮想的な天体を配置し、合計3500回のシミュレーションを行いました。

未発見の天体はいくつかの条件を満たす必要があります。永年相互作用が働くと、惑星の軌道は周期的に円軌道になったり楕円軌道になったりします。楕円軌道になった時は恒星に近づくため、長期的に見て軌道が縮むことになります。

天体の永年相互作用が弱すぎればマイグレーションを説明できない一方、作用が強すぎれば惑星bは主恒星に衝突する可能性があります。

これらのシミュレーションの結果、4-8天文単位の間に木星型惑星・褐色矮星または低質量の恒星が存在すれば、永年相互作用による周期的な軌道の楕円化によって、惑星bに十分なマイグレーションが起きることが分かりました。

また、この天体が現在までの観測で見つかっていないことも考慮しなければいけません。そこで研究グループはこれまでのケプラー419系の観測で検出できる天体の範囲を見積もり、仮に未知の天体が褐色矮星や恒星であれば既に発見されていたはずだということを示しました。

これらのことから、惑星bに十分な影響を与えつつ観測では発見できないという条件を満たす天体は、軌道半径4-7.5天文単位、離心率0.18-0.35、質量が木星の0.5-7倍の範囲をもつ木星型惑星だと結論しました。

軌道長半径
天文単位
4 – 7.5
離心率0.18 – 0.35
質量
木星比
0.5 – 7

仮に条件に合う惑星が見つかれば、この惑星系の歴史に対して永年相互作用が大きな役割を果たしたことが示されます。一方で、十分な観測にもかかわらず天体が見つからなければ、ケプラー419系は他のメカニズムで形作られたことになります。

主恒星のケプラー419はあまり観測には適した天体ではありませんが、観測回数を増やせば今回予想された範囲の惑星を十分に検出できると考えられています。

今回のような研究は、個々の惑星系の歴史やホットジュピターの形成メカニズムを紐解くことに加えて、効率的な観測ターゲットの選定という点でも意義があります。

Jackson氏らの研究は2019年2月13日にarXivに投稿され、15日に公表されました。

参考文献

Jackson, J. M. et al., 2019, “The Origin of Kepler-419b: A Path to Tidal Migration Via Four-body Secular Interactions”, arXiv:1902.05144v1.

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