プロキシマの惑星bはトランジットを起こしていない

太陽系から最も近い距離にある系外惑星「プロキシマb」は、恒星の手前を横切る「トランジット」を起こしていないことが分かりました。

トランジットを観測可能な場合とそうでない場合

赤色矮星「プロキシマ」は太陽系から最も近い距離(4.2光年)にある恒星です。この星の周りには2016年に地球の1.3倍以上の質量を持つ惑星「プロキシマb」が見つかっています。惑星はハビタブルゾーン(惑星表面に海が存在できる範囲)に収まる軌道を公転している点でも注目されます。

トランジットを観測する意義

プロキシマbは惑星の公転に伴って主恒星の視線速度(奥行き方向の速度)が変化することを捉える視線速度法で見つかりました。この方法は惑星の軌道を調べるのには適していますが、惑星本体の性質としては質量の下限値しか分かりません。

仮にプロキシマbが主恒星プロキシマの手前を横切る「トランジット」が起きていれば、惑星の大きさや大気などを観測する道が開けます。しかしトランジットが起きるには惑星の軌道面が太陽系から見てぼぼ真横になる偶然が必要なため、すべての惑星がトランジットを示す訳ではありません。

トランジットを観測可能な場合とそうでない場合
トランジットを観測可能な場合とそうでない場合。赤=主星・青=惑星。

研究

チリ大学に所属する James S. Jenkins 氏らの研究グループが5月3日にarXivに投稿した研究、はスピッツァー宇宙望遠鏡を用いてプロキシマbのトランジットを探した結果を伝えています。

2016年11月に行われた観測では、スピッツァーの赤外線カメラ「IRAC」を用いて、プロキシマbのトランジット予想時刻を中心とした48時間に渡ってプロキシマの明るさを赤外線(波長4.5マイクロメートル)で測定しました。惑星がトランジットを起こすと恒星の明るさが一時的に減少するのが記録されるはずです。

観測と分析の結果、トランジットは見つかりませんでした。観測精度から考えると、仮にプロキシマbが存在するならそのサイズは地球のが0.43倍以下と見積もられます。その場合惑星は質量とサイズを満たすためにあり得ない高密度(水の約100倍)が必要になるため、トランジットは起きていないという結論になりました。

これまでにプロキシマbのトランジットを検出したかもしれないという報告はいくつかありましたが、いずれも不確かなものでした。今回、高精度かつ連続的な観測でトランジットが見つからなかったことは、この論争に終止符を打つ結果となりそうです。

Jenkins氏らの研究は2019年5月3日にarXivに投稿され、7日に公開されました。

参考文献

  • Jenkins, K. S. et al., 2019, “Proxima Centauri b is not a transiting exoplanet”, arXiv:1905.01336v1.

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