赤色矮星のフレアに伴う紫外線は惑星の居住可能性を制限しない

赤色矮星の中には活発なフレアを示すものがあり、フレアの際に放出される紫外線は生命に有害という説があります。しかしながら惑星表面に到達する紫外線の強さを見積もった研究では、紫外線は生命の存続を脅かすレベルではないことが分かりました。


米コーネル大に所属する Jack T. O’Malley-James氏と L. Kaltenegger氏がarXivに投稿した研究は、赤色矮星の周囲にある惑星の居住可能性(生命が生息できるかどうか)を調べたものです。赤色矮星とは太陽より小さく温度の低い恒星です。

赤色矮星の中には強いフレア(恒星表面で起きる爆発現象)を起こすものがあります。惑星の居住可能性にフレアが与える影響は2つあります。一つはフレアに伴って放たれる高エネルギーの電磁波が生命に与える直接的な影響です。もう一つはフレアが惑星大気の流出を促す間接的な影響です。

今回の研究は、前者の直接的な影響のうち、特に惑星大気で遮られにくい近紫外線(波長150−400ナノメートル)を扱っています。

近紫外線はのうち波長250〜300ナノメートルより短いものは生命を形作る有機物に破壊的な化学反応を生じさます。そのため赤色矮星の惑星では生命は生じないか、生じたとしてもその発展は著しく限られるという主張があります。


今回の研究では、赤色矮星の周囲にある惑星にどれだけの紫外線が降り注ぐかを調べています。

地表に届く紫外線を調べるためにはまず赤色矮星が放つ紫外線の強さを決めなければなりません。今回は実在する4つの赤色矮星系をモデルケースとして、紫外線のスペクトル(波長ごとの強度)を決めています。

4つの赤色矮星系は、「プロキシマ」「TRAPPIST-1」「ロス128」「LHS 1140」です。これらの赤色矮星はそれぞれ居住可能かもしれない惑星が周囲に見つかっています。

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「プロキシマ」「TRAPPIST-1」はしばしば大規模なフレアを起こす活発な星です。そのためフレア発生中の紫外線スペクトルがモデルに用いられました。

また惑星大気による紫外線の吸収を扱うために、「酸素を含む大気」と「酸素を含まない大気」のモデルを用意しています。

大気を考慮しない場合

まず惑星大気の吸収を考慮しない場合について地球との比較を述べます。

赤色矮星は温度が低いためフレア抜きの「素の状態」では弱い紫外線しか放ちません。そのためフレアが活発でない「ロス128」「LHS 1140」の惑星は、地球が太陽から受けるのと比べてごく弱い紫外線しか受け取りません。

一方プロキシマとTRAPPIST-1では、大規模フレアが発生している間は「素の状態」より強い紫外線を放ちます。ほとんどの波長では太陽を上回るほどではありませんが、波長200ナノメートル以下では太陽を超えます。

(次ページ:オゾン層のない大気)

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