深海の脅威が海洋惑星を凍結させる

深い海を持った海洋惑星では、海底に「高圧氷」の層が形成されることで気候が著しく寒冷化する可能性があることが分かりました。

海洋惑星の定義の一例

地球の海洋は、太陽系内では他の惑星には見られない特徴です。しかし地球質量全体に占める割合は0.02%、地球内部の水を含めても約0.1%に過ぎません。一方で、太陽系外惑星ではより多くの水を持つ「海洋惑星」も存在すると考えられています。

地球の数十倍の海洋質量を持つ惑星では、海底の水圧が「高圧氷」が形成されるに十分なほど高くなります。高圧氷は高圧環境でのみ見られる氷の形態で、日常的な「氷」と異なり水に沈みます。海洋と岩石の地殻とを隔てる高圧氷の層は、地球のような惑星とは本質的に異なる環境をもたらします。

海洋惑星の定義の一例
揮発性物質(水や二酸化炭素)を多く含む惑星では海洋の底に高圧氷が形成される。

東京大学に所属する中山陽史氏らが7月1日にarXivに投稿した研究(arXiv:1907.00827)は、海底に高圧氷の層を持つ海洋惑星がどのような気候を持つのかを調べたものです。研究では海洋以外の性質は地球と同じで、プレート運動を持つ惑星が想定されました。

従来の研究

これまでの研究では、高圧氷は海洋と地殻を隔てると仮定されてきました。この仮定では、惑星の気候は不安定になります。

地球のような高圧氷を持たない惑星では、次のような気候安定化のメカニズムがあります。惑星大気の二酸化炭素は、大気→海洋→地殻と吸収され(海底風化作用)、プレート運動で惑星内部に取り込まれます。ここで重要なのが、海底が暖かいほど海底風化は強くなり、海底温度は惑星表面温度に連動していることです。そのため表面温度が上がれば大気中の二酸化炭素は活発に地殻に取り込まれます。温室効果を持つ二酸化炭素が減れば温度上昇は抑えられます。

海洋と地殻が完全に隔離されていれば海底風化作用は起きないため、上記のメカニズムは働きません。その結果、高圧氷層を持つ惑星では大気に二酸化炭素が蓄積し続け、生命の住めない高温の星になることが、これまでの研究で予測されていました。

崩れた前提

高圧氷は海洋と地殻を完全に隔離するのでしょうか?

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