逆行軌道の惑星が連星系に見つかる

連星系に属する高温の恒星「WASP-180A」にホットジュピターが発見されました。この惑星は恒星の自転と逆方向に公転する逆行惑星です。


英キール大学に所属する L. Y. Temple 氏らがarXivに投稿したプレプリント(リンク)は、惑星「WASP-180Ab」の発見を伝えています。

WASP-180Abはトランジット法で系外惑星を観測している「WASP」プロジェクトのデータから発見されました。フォローアップ観測には、オイラー望遠鏡(口径1.2m)の「CORALIE」分光器やESO 3.6m望遠鏡の「HARPS」分光器などが用いられました。

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惑星WASP-180Abは3.41日周期で公転するホットジュピター(高温の木星型惑星)で、木星の8割の質量と1.3倍の半径を持ちます。温度は1500ケルビン(1250℃)以上と計算されています。

主恒星の「WASP-180A」は太陽より高温で光度が大きい星です。この星は他の高温の恒星と同様に高速で自転しています。恒星Aから1400天文単位(=地球―太陽間の距離の1400倍)の距離には恒星の伴星「WASP-180B」があります。

逆行する惑星

主恒星のWASP-180Aが高速で自転していることは視線速度法の観測には不利ですが、代わりにドップラートモグラフィー法(DT法)という技法に適します。

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研究グループがHARPSを使って観測した結果、この惑星は主星の自転と逆方向に公転する「逆行惑星」であることが明らかになりました。軌道傾斜角(恒星の赤道面に対する)は162±5度と見積もられ、完全な逆行軌道から約18度傾いています。

これまでの研究で、傾いた軌道や逆行軌道をもつ(=ミスアライメントをもつ)ホットジュピターは珍しくないことが知られています。これらの惑星は特にWASP-180Aのような高温の恒星(有効温度>6250ケルビン)に見つかる傾向があります。


主恒星が連星系に属することは、惑星のミスアライメントに影響を与えるかもしれません。しかし研究グループによると、現時点では連星系にトランジット惑星が見つかる例は少なく、特に恒星の自転に対する軌道傾斜角が求められたものはWASP-180Abの他に4例しかないということです。

連星系にトランジット惑星が見つかりにくい理由は、連星系ではトランジット法の観測が難しいという観測バイアスの影響が大きいとされています。今後WASP-180Abのような惑星の発見が増えれば、ミスアライメントを持つホットジュピターの起源について理解を深めることができると期待されます。

Temple 氏らの研究は2019年3月19日にarXivに投稿され、20日に公開されました。

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参考文献

  • Temple, L. Y. et al., 2019, “WASP-180Ab: Doppler tomography of an hot Jupiter orbiting the primary star in a visual binary”, arXiv:1903.08002v1.

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