ロス128の活動周期

地球に似た惑星を持つ太陽近傍の恒星「ロス128」には、太陽の活動周期に似た5.4年の活動周期があることが分かりました。

太陽系から11.1光年の距離にある赤色矮星「ロス128」(Ross 128)は、2017年に地球に似た質量・温度の惑星が見つかったことで注目を集めています。アルゼンチン・ブエノスアイレス大学に所属する R. V. Ibañez Bustos 氏らの研究チームがarXivに投稿したプレプリント(arXiv:1907.05728)は、このロス128の活動周期について調べたものです。


太陽では磁場の変化に伴って約11年周期で黒点が増減しています。同様の周期性は赤色矮星にも存在すると見られますが、これまでにロス128では知られていませんでした。

研究チームは恒星の活動性を調べる「HKα」プロジェクトを1999年から行っており、ロス128はそのターゲットに含まれています。研究では恒星のスペクトル(光の波長ごとの強度)を継続的に観測し、磁場や活動性を反映してスペクトルの細部が変化することを利用しています。

今回の研究では、HKαプロジェクトの一環としてアルゼンチン・レオンシト天文台の2.15m望遠鏡と分光器「REOSC」を使って集めたデータに加え、ヨーロッパ南天天文台(ESO)が公開している観測データを分析に用いました。ESOのデータは、

  • HARPS(チリ・ラシヤ天文台ESO 3.6m望遠鏡)
  • FEROS(同天文台MPG/ESO 2.2m望遠鏡)
  • UVES(パラナル天文台VLT望遠鏡)
  • X-Shooter(同望遠鏡)

の4つの分光器で集められたものです。観測期間は2004年から2018年(うちREOSCのデータは2006~2018年)に渡ります。

結果

研究チームは活動性の指標として、スペクトル中の波長393.4ナノメートルに見られる「Ca II K線」と呼ばれる光の強さを調べました。その結果、ロス128の活動性は5.4±0.3年周期で変動している事が分かりました。

また波長589.6ナノメートルに見られる「Na D1線」も同様にして調べたところ、Ca II K線と誤差の範囲で一致する5.8±0.8年の周期性が見つかりました。ただしこの周期性は不明瞭で、誤検知の可能性も排除できませんでした。

観測されたロス128の平均的な活動性は、この星が赤色矮星の中では自転の遅く活動性が低い天体だという従来の見方を裏付けています。


恒星の内部構造モデルによると、ロス128のような低質量の赤色矮星は、恒星全体が対流層からなる構造を持っています。ロス128の活動サイクルを調べることで、このような低質量星の磁場を調べる手掛かりとなります。

またロス128自体がその例であるように、赤色矮星の周りには居住可能(=生物が生息可能)な惑星の候補が多く見つかることが期待されています。赤色矮星の活動性について理解することは、惑星の居住可能性に恒星が与える影響を知る上でも重要です。

Ibañez Bustos氏らの研究は2019年7月12日にarXivに投稿され、15日に公開されました。

参考文献

  • Ibañez Bustos, R. V. et al., 2019, “Ross 128 – GL 447 A possible activity cycle for a slow-rotating fully-convective star”, arXiv:1907.05728v1.

関連記事

カテゴリ:赤色矮星

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。